ダジャレ押しの週タイトルは『ちりとてちん』でも

前作の『あまちゃん』も、ヒロインのアキ(能年玲奈)が東京で育ったのに北三陸に来た途端、いきなり訛ったので、「おら~」というセリフのようなスタイルで統一されていた。

「おら、この海が好きだ!」「おら、ウニが獲りてぇ!」「おらのママに歴史あり」「おら、アイドルになりてぇ!」「おら、地元に帰ろう!?」「おらとママの潮騒のメモリー」「おらたち、熱いよね!」といった感じだ。

昨年の紅白歌合戦では、PR大使だった能年玲奈だけでなく、橋本愛、小泉今日子、薬師丸ひろ子など、ドラマの登場人物が一同に介して「暦の上ではディセンバー」「潮騒のメモリー」「地元に帰ろう」を15分間に渡って歌ったが、これが連ドラ最終回の第156回に続く第157回という位置づけで、この回にも会場のモニターには「おら、紅白出るど」というサブタイトルが表示されていた。

 

そして、『ごちそうさん』と同じダジャレ押しの週タイトルといえば、2007年度後半の『ちりとてちん』を忘れてはいけない。

この作品は、貫地谷しほりが演じるマイナス思考のヒロインが、若狭塗りの塗り箸業を営む福井県小浜市の実家から大阪へ出て、落語家を目指すストーリーだった。内容的に本編でも笑いは豊富だったが、週タイトルもことわざや曲名、映画のタイトルなどをダジャレにしたものだった。

たとえば、「笑う門には福井来る(笑う門には福来る)」「エビチリも積もれば山となる(塵も積もれば山となる)」「瀬戸際の花嫁(瀬戸の花嫁)」「思えば遠くへすったもんだ(思えば遠くへ来たもんだ)」「終わりよければ滑ってよし(終わりよければすべてよし)」などといった具合だ。

20010年度後半の『てっぱん』でもダジャレの週タイトルは少し使われていて、「上を向いて食べよう(上を向いて歩こう)」「ソースが目にしみる(煙が目にしみる)」「立つ鳥ダシを濁さず(立つ鳥跡を濁さず)」「イヤよイヤよも鰹節(イヤよイヤよも好きのうち)」などがあった。
 

こうした週タイトルの歴史があって、現在放送中の『ごちそうさん』でもダジャレ押しのタイトルが採用されているのだ。

『ごちそうさん』は食をテーマにした内容なので、ダジャレのアイテムはすべてその週に出てくる食材か食べ物で統一されている。

第1週が「いちご一会(一期一会=イチゴ)」、
第2週が「黄身と出会った(君と出会った=黄身)」、
そして第3週以降は「なっとうくう!(納得=納豆)」、
「こころをコメて(心を込めて=米)」、
「フォンとうの気持ち(本当の気持ち=フォン)」、
「こんぶねーしょん(コンビネーション=昆布)」、
「たいした始末(大した始末=鯛)」、
「ごめんなすって(御免なすって=茄子)」、
「君をあいス(君を愛す=アイス=氷)」、
「祭りのハーモニー(=鱧)」、
「大嫌いっていわしたい(大嫌いって言わせたい=鰯)」、
「ごちそうさんまでの日々(=秋刀魚)」、
「ふくが来た!(福が来た=ふ久が来た=河豚)」、
「アイスる力(愛する力=アイスクリーム)」、
「今日でおわカレー(今日でお別れ=カレー)」、
「汁の棲み家(終の棲み家=つゆ)」と続いている。

前半戦の最後に生まれた長女のふ久(河豚)に加え、長男の泰介(鯛)、次男の活男(鰹)も生まれ、3人の子どもの母親になっため以子(杏)。そんな彼女のこれからもじっくりと見守りたいところだが、今後どんな食材がストーリーに組み込まれ、それがどんなダジャレの週タイトルになるのか、そこまでしっかりと楽しみたい。

 

 

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。