『マチェーテ・キルズ』 (C)2012 Vrelonovama LTD

ある資料によるとTV&映画の出演作は262本! このツワモノこそ、一度見たら決して忘れられない顔、ダニー・トレホである。

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イカツくってゴツく、面妖で醜悪、個性的でもあり野生的でもある……そんな表現が当てはまるルックス。その顔を活かし、これまでずーっと脇でスゴんでいたトレホの初主演作が盟友ロバート・ロドリゲスによる『マチェーテ』シリーズ。『グラインドハウス』に初登場したこのキャラクター、人気者となって3月1日(土)に続編『マチェーテ・キルズ』が公開される。

「オレはこの顔で随分トラブルに巻き込まれてきたんだ」というトレホはドラッグ問題で刑務所を出たり入ったり。しかし、更正して麻薬カウンセラーとなり、ひょんなことから映画界に入った。

「オレが相談を受けていた男が音響の仕事をしていて『暴走機関車』の現場に行ったんだ。偶然そこで刑務所仲間と再会し、彼の紹介でエリック・ロバーツのボクシングのトレーニングをやることになった。それが映画の初仕事だ。トラブルの元だったこの顔が映画界ではかえって役立ったよ(笑)」

とはいえ、母親から信頼を得るのは大変だったらしい。

「ママが年を取ってきたので生活しやすい場所に家を買ってあげたんだ。お金の心配をするから“映画の仕事があるから大丈夫”と言ってもママは“でも、ミホ(トレホ)、仕事をしなきゃ”というばかりで、まったくわかってくれない。そんな時、ママの大好きなTVの昼メロに出たんだ。すると“ミホ! 凄いじゃない。やっと仕事にありついたんだね”と大喜び。その興奮たるや、オレが大統領になったというくらい。どんな映画を見せてもダメだったのに、それでやっと認めてくれたんだ」

あのイカツイ顔で、この親孝行っぷり。この落差がたまりません。

『マチェーテ・キルズ』
3月1日(土) 新宿バルトほか全国ロードショー

『ぴあ Movie Special 2014 Winter』(発売中)より
文:渡辺麻紀