スープ

 

 ―スープですか?

 

 

 

 

スープ

 

 ―巨人でしょう? もっとカロリーのありそうなもの食べるんじゃないんですか?

 

 

 

 

いいえ、スープを食べます。
私もほかの巨人もみんな、スープを食べています。

 

―スープを食べていて、そんなに大きくなるんですか?

 

 

 

 

なります。

 

―わかりました、ありがとうございます。さて、人気巨人アニメでは巨人たちがかなり壁を壊す描写がありますが、実際の巨人も壁を壊すものなのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊しません。

 

―なぜですか?

 

 

 

 

なぜって、壊さないでしょう、そりゃあ。
せっかく作ったのに、なんで壊すんですか。
壊すんだったら、作らなきゃいいでしょう。
巨人は合理的ですから、そんなことはしません。
もっとも、人間はドイツでとても大きな壁を壊したらしいですが。

 

―(汗)。よくご存知ですね。

 

 

 

 

誤解しないでください、私は人間が好きです。
しかし人間の悪いところは、大きいというだけで、
動物に愚鈍なレッテルを貼りがちだということです。

確かに我々は画鋲を踏んでも、
あるいは一軒家を踏んだくらいでは気付かないこともあります。
しかし、それは人間にとってのアリの巣と同様、
気にするにはスケールが小さすぎるというだけの話なのです。

文明の発達度でいえば、まだ人間は科学を発展させている段階ですが、
われわれ巨人は、発展しすぎた科学が我々巨人の幸福というものを
脅かすという行き詰まりにぶち当たり、科学を放棄するにいたった民族です。
まだその矛盾に向かい合っていない人間などは、私たちの文化の足元にも及びません。

  

―素晴らしいですね。続いて…。巨人には「奇行種」がいると聞きますが、奇行種とは具体的にどのような個体をさすのでしょうか?

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