何回やってもまだ尚、新しい発見があります(吹越満)

左)岡田トオル役:渡辺大知、中央)綿谷ノボル役:首藤康之 撮影/田中亜紀

音くり寿(加納マルタ/クレタ役) コメント

お陰様で無事に開幕しました。まずインバルさん、アミールさんをはじめ共演者の皆様、クリエイティブスタッフの皆様と出会い、共に村上春樹さんのこの素晴らしい作品と向き合い追及し続けられた日々はかけがえのないもので、それが決して当たり前の事ではないのだと、感謝と幸せを感じています。

そして兎に角、常にアップデートされる”表現”の面白さと楽しさに震えが止まりません。1人でも多くの方にこの奇妙で美しい世界に迷い込み、深く深く降りて、体感して頂きたいなと願っています。

このカンパニーの1人として胸を張って皆様と共に舞台にたち続けられますよう日々精進して参ります。劇場でお待ちしております!

松岡広大(赤坂シナモン役) コメント

初日が開きました。
この世界には夢だと思うような甘美な瞬間が実生活に顕れていたり、これは夢だと思いたいけれど暗い事柄が現実にも顕れたりします。理解できないことも多い。これら種々様々な現象に対して、言葉にできない感情や情景、或いは目を覆いたくなる事柄や不条理を演劇にしているこの『ねじまき鳥クロニクル』は、誰かの人生を変える力を持っている作品だと信じています。

学生さんもU-25の方も遍く全ての人にとって、ゼロイチではない淡さと暗さと万物の「過程」は、とても大切なんじゃないかと強く思います。

日本でこんな作品はそうそう観られないです。想像の余地を与え、自由な感性で楽しめる作品の一助たるべく、精進していきます。

成田亜佑美(岡田クミコ役) コメント

まるで4年間の空白の時間なんて無かったかのように再演の創作が始まったように思います。でもやっぱりお一人お一人が確実にそれぞれの時間を過ごして今ここにいる事、そして確実に世界が変わっている事も、日々のお稽古を通して感じていきました。

増して“暴力”というモノが悲しく重くのしかかります。

村上春樹さんという水の中をみんなで泳いでいるようだとインバルは言っていました。きっとどこにも辿り着ける場所なんてないのだろなと思うし、誰もどこかに辿り着こうとは思っていないような気もします。

とにかく泳ぎ続ける事しか出来ないのですが、誰かのなにかに、どこかのなにかに、届く事を願いながらここからも頑張りたいと思います。

左から)牛河役:さとうこうじ、岡田トオル役:成河 撮影/田中亜紀

さとうこうじ(牛河役) コメント

3年半前に劇場への休業要請で中止になってからの再演ですが、役者演出家スタッフ全員の、前回を超えてやるとの熱量が凄いんです。初演もきっともの凄い舞台だったと思いますが、今回それを越える気満々なんです。まだまだ上を目指します!

初演時に原作を読み直した時、村上春樹さんの作品にしては暴力、戦争に関わる所がとても多く感じられ、それまでとは違ったように感じました。

それが今の時代になり、とてもリアルに感じられ、自分で考えろ、というメッセージも強く響きます。

改めてこの舞台から何かを感じ取っていただければ、と思います。どうぞ劇場に足をお運び下さい。

吹越満(間宮役) コメント

初演の稽古と本番。そして、今回の稽古を合わせて、何回くらい「間宮中尉の長い話」を演ったのでしょう。再演の本番が始まっても、何回やってもまだ尚、新しい発見があります。いいことです。

そして、何百回やったとしても、まだミスがあります。よくないことです。しかも、何回もミスしているのにもかかわらず、その誤魔化し方だけが、発見できていません。笑。いや、発見しなくていいのか。ミスしなきゃいいだけの話だ。なんてことを考えながら、今日も台詞を言います。

銀粉蝶(赤坂ナツメグ役) コメント

幕があきました。ドキドキハラハラの日々でした。みなさんの前でやれるのか?と自信を持てないまま、今日の初日をむかえました。

初日を終えて自信はカケラも芽生えないけど、インバルやスタッフ、キャストのみんなと過ごした稽古場の時間を信じることはできます。そこを信じて千秋楽まで駆け抜けてまいります。

公演情報

舞台『ねじまき鳥クロニクル』ビジュアル

舞台『ねじまき鳥クロニクル』

原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー

【出演】
■演じる・歌う・踊る
成河/渡辺大知 門脇麦 大貫勇輔/首藤康之(ダブルキャスト) 音くり寿 松岡広大 成田亜佑美 さとうこうじ
吹越満 銀粉蝶

■特に踊る
加賀谷一肇、川合ロン、東海林靖志、鈴木美奈子、藤村港平、皆川まゆむ、陸、渡辺はるか(五十音順)

■演奏
大友良英、イトケン、江川良子

【公演スケジュール】
東京公演:2023年11月7日(火)~11月26日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪公演:2023年12月1日(金)~3日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
愛知公演:2023年12月16日(土)・17日(日) 刈谷市総合文化センター大ホール

※舞台『ねじまき鳥クロニクル』情報は、公式サイト公式X等のオフィシャルアカウントをご確認ください。