フィリップスの23インチの液晶ディスプレイ「234E5QHSB/11」が、家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」の2013年12月の機種別ランキングで1位になった。シェーバーや人気のヘルシー調理家電「ノンフライヤー」を販売するフィリップスが液晶ディスプレイ? という声が聞こえてきそうだが、フィリップスが液晶ディスプレイ市場に参入したのは2013年9月のこと。参入からたった4か月で快挙を成し遂げたのだ。

液晶ディスプレイ市場は、これまで長く三菱電機がトップに君臨していた。ところが三菱は、2013年12月に個人向けディスプレイ事業の終了を発表。「BCNランキング」では、2013年4月までメーカーシェア1位をキープしていたが、5月から失速。年末商戦では先頭集団から落ち、第2集団に後退した。事業終了を発表する前の夏頃から、市場への製品供給を絞っていたようだ。

王者がいなくなった市場では、アイ・オー・データ機器などの国産勢、LGエレクトロニクス・ジャパン、ベンキュージャパンなどの海外勢がしのぎを削っている。なかでもLGはシェアを伸ばし、2013年で最も販売台数が多かったメーカーを表彰する「BCN AWARD 2014」を受賞した。

その激戦区に、今年9月中旬に参入したのがフィリップスだ。フィリップスは、世界市場で液晶ディスプレイを展開していたが、国内に参入するのは今回が初めて。とはいえ、2012年に全世界で約700万台を販売するなど、その実力は折り紙つき。10月にはメーカー別販売台数シェア1.8%でトップ10入りを果たし、11月は4.7%で8位、12月は6.9%で7位と、シェアはウナギ昇りの勢いだ。

●スマートフォンと相性がいいMHL対応の「234E5QHSB/11」

フィリップスのメーカーシェアを押し上げ、2013年12月の月間ランキングで1位になった「234E5QHSB/11」は、23インチワイドのフルHD液晶ディスプレイだ。フルHD解像度と売れ筋ゾーンのスペックを備えているが、数多くある製品のなかから選ばれている理由の一つが、モバイル機器向け高速映像伝送用インターフェース「MHL(Mobile High Definition Link)」への対応であることは間違いない。

デスクトップPCのメインディスプレイというイメージが強い液晶ディスプレイだが、現在、デスクトップPCは販売台数、金額とも2ケタのポイント減が続き、勢いがない。ノートPCのサブディスプレイとしての使い方もあるが、実際にはユーザーはそれほど多くない。にもかかわらず、液晶ディスプレイは販売台数、金額とも、ほぼ前年並みで推移しているのだ。

では、液晶ディスプレイ市場を支えている用途とは、何だろうか。実は、最近はPC以外の機器と接続する使い方に注目が集まっている。ゲーム機の専用ディスプレイとしては以前から使っている人がいたが、最近ではスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器と接続し、モバイル機器の映像を大画面で楽しむ使い方が増えているのだ。

市場にある液晶ディスプレイのなかで、ケーブル1本でスマートフォンやタブレット端末と接続することができる規格、MHLに対応したモデルはまだ少ない。2013年12月の機種別トップ10のなかでは、「234E5QHSB/11」のほか、6位の「Diamondcrysta WIDE RDT235WX(BK)」(三菱電機)の2機種だけだ。モバイル機器に表示しているゲームや動画をより迫力ある映像で楽しめることが、「234E5QHSB/11」の大きなセールスポイントになっているのは間違いない。

さらに「234E5QHSB/11」は、色再現性が高いAH-IPS方式のパネルを採用。デジタルカメラの画像などを鮮やかに表示する。視野角は178°と広く、広いエリアから映像を楽しむことができる。また、超狭額ベゼルのディスプレイなので、映像コンテンツを楽しむときにフレームにじゃまされず、高い没入感を得ることができる。

サポート面も充実している。フィリップスの液晶ディスプレイは、パネル、バックライト、そして電源部などに5年間の品質保証がついている。通常利用の範囲内で突然不具合が生じたときなど、ほとんどの場合、保証が受けられるのだ。液晶ディスプレイの保証は、一般的には1~3年なので、フィリップスの液晶ディスプレイは破格の安心保証といえるだろう。さらに、音声ガイダンスを介さず直接オペレーターに繋がる「フィリップスモニター・サポートセンター」も好評価だ。

液晶ディスプレイ市場では、現在LGが頭一つ抜き出てリードしている。2位以下をみるとアイ・オー・データ機器、ベンキュー、マウスコンピューターなどがひしめき、混線状態だ。急成長中のフィリップスはこの第2集団に追いつこうとしている。フィリップスが年末の勢いを保ったまま今年も伸び続けることができるか、注目したい。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。