『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で主演を務めたレオナルド・ディカプリオ

レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督が5度目のタッグを組んだ新作映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が本日から公開されている。

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本作は、20代で証券会社を設立して億万長者になるも、証券詐欺の違法行為で逮捕された実在の株式ブローカー ジョーダン・ベルフォートの回顧録を映画化したもの。“ウォール街のウルフ”と称される主人公をディカプリオが演じる。

過去4度、ディカプリオはスコセッシ監督の下で演じ、俳優として成長を遂げてきた。本作で演じるのは果てしない欲望に身を任せ、自身でも気づかないうちに狂気に満ちていく男ジョーダンだ。「スコセッシとの仕事は毎回新しい発見があるけど、この映画は偉大な文学の映画化とかではなくて、現代を生きるひとりの男の半生を描いているから、題材を自由に扱ってよかった。監督は僕に自由を与えてくれたしね。5作品やって気づいたのは、監督は物語よりも“人物像”を大事にしているということだ。『タクシードライバー』も『レイジングブル』もそうだけど、そこにキャラクターが存在して、どういう人物なのか見せていくことがストーリーになっていくんだ」。

スクリーン上に“生きている”人物を出現させる。言葉でいうのは簡単だが、本作ではそれは高い壁になる。なぜならジョーダンは、圧倒的なテンションで相手に自分をセールスし、汚い言葉を吐き続け、違法薬物を摂取し、人をダマして稼いだ金を湯水のように使い、一瞬たりとも反省することなくさらに金を稼ごうとする強烈な人物だからだ。「7年間ずっとこの企画に関わっていたから、どんな風に演じようかずっと考え続けてきた。でも実際に撮影現場に行くと、周囲は『もっとだ! もっと!』というし、監督は自由を与えてくれるので、ついに誰も僕をコントロールする人がいなくなったんだ。道徳的な指針を与える人がいなくなったジョーダンのようにね。だから計画していたものとは違う演技になった。本当に作品の世界の中に入り込んでしまって即興で演じることもあったよ」。

一瞬の迷いや反省もなく、己の欲望に忠実につき進んでいく男を演じたディカプリオの演技は圧巻だ。しかし彼はこの物語を“警告”だと分析する。「ウォール街ではつねにこのようなことが起こっていて、30年ごとに同じようなことを繰り返して経済破綻を招いている。過去のことに学ばずに、抜け穴を見つけては人をダマしているんだ。僕がこの物語に惹かれたのはジョーダンがこの物語を“警告”として書いていたことだ。最初に読んだ時からずっとこの物語を映画化できないかと考え続けてきたんだ」。

長い時間をかけて映画化を画策し、自分であることを忘れてしまうほど役にのめり込んだ本作は、ディカプリオにとって特別な作品になったようだ。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
公開中