清春(黒夢) 清春(黒夢)

1月29日に黒夢が東京・日本武道館で「黒と影」を開催した。

会場が期待に渦巻く中、照明が落とされ、サポートメンバーが登場した後に、人時と清春がステージに現れると、武道館に集まった満員の観客のボルテージはいきなり最高潮に。その想いに呼応するように、ステージ上に特効の火柱が上がり、ライブスタート。1曲目『FAKE STAR』からこちらに考える隙を与えない、力強さに溢れている。その後のMCで人時が「興奮してライブをするから、みんなも興奮してください」と語っていたが、そう言われずとも、黒夢のライブが見られる幸福さを体中で感じているようだった。

「「the end」から丸5年ですね」と清春も語ったとおり、この日は2009年に同じ武道館のステージで開催された一夜限りの復活、そして解散ライブを行ったのと同じ因縁深い日。しかし「武道館とか意識するとダメ」と清春が語ったように、この日、この会場だからという特別な感情は抜きにして、ただ今ふたりがやりたい曲、ファンに聴かせたい曲を全霊で鳴らしているような印象を受けた。

また、この日約2年3か月ぶりの新作アルバム『黒と影』をリリースした黒夢。しかし、そこから披露された曲は少なく、自ら自虐的に「(公演名が)『黒と影』というタイトルでありながら、そこからほとんどやらない」と語っていたが、「新曲やります」と3月に発売予定のゲーム「戦国無双4」のCMソングが決定している『Reverb』を披露。「ふたりとも気に入っている」と話したように、彼ららしいへヴィさとメロディアスさが同居した楽曲で、リリースが今から楽しみになる1曲だった。

その後、『棘』『for dear』『Miss Moonlight』とイントロが聴こえただけで、観客が熱狂する人気のナンバーが続く。どの曲もリリース当時のカッコ良さはそのままに、そこから様々な出来事を経てきたふたりだからこそ鳴らせる楽曲の深みと、パフォーマンスに満ち溢れた瞬間であった。

2度目のアンコールでは再始動後初のシングル『ミザリー』そして大ヒットナンバー『少年』を披露。全身で楽曲を届けようとする清春と人時、そしてそれを全て受け止めようとする武道館の満員の観客によって、会場はとてつもない熱気に。その後ステージを去った後も鳴り止まないアンコールに応え、この日3度目のアンコールに出てきたふたり。最後はやはりこの曲『Like @ Angel』。演奏後、サポートメンバーとともに、何度も客席に手を挙げるふたりの姿が印象的だった。

その前のMCで清春は言葉を選びながら、「僕たちは自由に活動していく。その時に気が合えば活動する。それは黒夢かもしれないし、黒夢じゃないかもしれない」と語ったが、ふたりが黒夢という存在を大切にしている事、そしてファンがどれだけ黒夢の事を考えているかを知っているからこその発言である事は、多くを語らずとも分かるはずだ。ただ今は決定しているライブと新曲リリースを楽しみに待つ事にしよう。