プラットフォーム非依存の3Dアバターファイルフォーマット「VRM」はオープンソースで公開されている

ドワンゴは4月16日、VR向けの新たな3Dアバターファイルフォーマット「VRM」とその標準実装(Unity対応)をオープンソースで公開した。プラットフォーム共通のファイル形式で、対応アプリケーションすべてで、同じ人型3Dアバター(3Dモデル)データを扱える。

開発したドワンゴのマルチメディア企画開発部先端技術演出開発セクションの岩城進之介氏は、オープンソースで公開する狙いについて「収益化は難しくなるが、今は普及させることが大切。盛り上がっているタイミングで、まずは市場の基礎を固めたい」と話す。

従来は、VRやバーチャルYouTuber(VTuber)で、キャラクターや3Dモデルの人型アバターを利用しようとした際、クリエイターが使用するモデリングツールによって構成や3Dデータフォーマットが異なるなど統一した扱いが難しく、アプリケーションや3Dモデルデータごとに独自のシステムを開発したり、調整したりする必要があった。

プラットフォーム非依存の3Dアバターファイルフォーマット「VRM」を利用すれば、こうした課題は解決する。UnityでVRMファイルを読み書きする標準実装を提供するが、フォーマット自体はプラットフォーム非依存のため、他エンジンや環境でも取り扱うことができる。

ドワンゴは、4月13日に提供開始したVRライブ・コミュニケーションサービス「Virtual Cast(バーチャルキャスト)」のアバターに「VRM」を採用。立体投稿共有サービス「ニコニ立体」でも、VRM形式の投稿受付を開始している。

なお、ネットワークに相互接続したアバター同士によるVR空間でのコミュニケーションを想定すると、「ユーザー自身のアバターが他のユーザーからも見えるよう、他のユーザーへ自身のアバターデータを送信する」という工程が発生する。この場合、受け取った側がアバターを無許可で流用するなど、従来の考え方に基づく「再配布」規定だけでは対応できない場面が出てくる可能性がある。

その対処としてVRMは、モデルデータ自体に対しての改変・再配布規定(Creative Commonsなどから設定可能)や、モデルデータを使用して人格を演じることについての許諾規定をファイルに設定できるよう、新たな時代にあわせたファイルフォーマットとして設計している。

ドワンゴでは、VRMの提供を通じて、生放送や動画、ゲーム、チャットなどそれぞれで存在するVR世界がつながり、プラットフォームを超えた自由なコラボレーションが実現できる環境の構築を目指す。