『アナと雪の女王』 (C)Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

3月に公開される最新ディズニーアニメ『アナと雪の女王』に登場する楽曲が、高い人気と支持を集めている。劇中で登場人物たちが歌うナンバーは観客の心をしっかりと捉えたようで、サウンドトラック盤は大ヒットを記録。第86回アカデミー賞ではアニメーション映画賞はもちろん、主題歌賞にもノミネートされ、アメリカではスクリーンに合わせて観客も一緒に歌うことができる上映も始まった。これらの楽曲を手がけたのは、クリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスだ。ふたりが作る楽曲は、“劇中のミュージカルナンバー”という枠を超えて、映画の“構造”も変えてしまったようだ。

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本作の主人公は、触れるものを凍らせてしまう禁断の力をもった女王エルサと、彼女を愛している妹アナ。エルサは自身の力を制御して成長し、女王に即位するが、ついに自身の力を制御しきれずに真夏の王国を冬に変えてしまう。映画は、アナが愛する姉を救うため、雪に閉ざされた王国を救うために旅立つ様を描く。

日本でもすでに一部の劇場で『Let It Go』のクリップ映像が上映されている。自身の力で王国を冬に変えてしまい、城を飛び出した姉・エルサが誰もいない土地で、ありのままの自分でいることを高らかに宣言するナンバーだ。実はこのナンバーは本作のために書かれた最初のナンバーだそうで、ロバートは「この歌は、みんなのエルサに対する考え方を変えさせた」と振り返る。「エルサは悪役的な存在だったけれど、映画を観ればわかるように、悪役ではなくなったんだ。僕らは彼女を主人公のひとりに変えようと思ってあの曲を作ったわけではないけれど、あの歌は彼女の心の枠組みの中に入って行ったんだ」。

一方のクリステンは「私たちが作ったこの歌が機能した途端に、突然、エルサはもう悪役でなくなったわ。(製作総指揮の)ジョン・ラセターがこの曲をすっかり気に入って、『恥ずかしながら告白するけれど、この曲を車の中で何度聴いたことか。とにかく車を走らせて…』と言っていたそうよ」と笑顔を見せ、ロバートは「“物語を語ること”を第一に考えていたんだ。唯一ルールがあるとしたら、説得力のあるキャラクターを作り上げること、キャラクターの心の中にある感情を見出すことだ」とつけ加える。

ロペス夫妻の生み出した歌の力によって、禁断の力を持ってしまった女王は“悪役”ではなく、愛する妹の想いと自身の進むべき道の間で迷う“主人公”になった。単に脚本に書かれた要求を歌にするだけでは、このようなミラクルは生まれなかっただろう。

『アナと雪の女王』
3月14日(金) 2D・3Dロードショー