田口章太郎役の神木隆之介

 いじめ、体罰、モンスターペアレント、教師のブラック労働などがはびこる崩壊寸前の教育現場で、スクールロイヤー(学校弁護士)の田口章太郎が、法律を武器に学校問題や教師、生徒と向き合い、傷つきながら成長していく学園リーガルドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(4月21日から、NHK総合テレビ毎週土曜午後8時15分から放送)。本作で弁護士役に初挑戦する神木隆之介が、役作りの苦労やスクールロイヤー制度への期待、役さながらの学生時代について語ってくれた。

-教育現場もかなりさま変わりしたと思いますが、本作を通して、その一端を知った感想は?

 僕は先生とは仲がよかったのですが、知らなかったことも多くて、学校を違う立場や違う角度から見ると、すごい戦いの中で先生たちは生きているし、息苦しい中で仕事をしていたんだなと思いました。どこが先生の休息ポイントだったんだろう…。こんなに大変な世界だとは考えもしませんでした。

-今年度から導入されるスクールロイヤー制度については、どう思いますか。

 今回初めて聞いた制度ですが、何か問題が起きたときに、感情で左右されていたものが、法律ではっきりさせられることは、いい意味で環境を変えていくことにつながると思います。今の教師はいろんな制限を受けて肩身が狭いだろうし、生徒の中にも、学校で生きづらいと感じている人もいるだろうから、各学校がこの制度を導入することで、教師と生徒が楽しく授業ができて、教師は「この職に就けて良かったな」、生徒は「この学校を卒業できて良かったな」と思えるようになればいいなと思います。後はドラマを見て、スクールロイヤー制度や学校問題について、家族で話す機会が増えればうれしいです。

-弁護士役は初めてですが、演じる上で事前に準備したことはありますか。

 撮影前に弁護士の方と話す機会を設けていただき、弁護士はどうやって生活をしているのか?とか、どういうしゃべり方をすれば弁護士らしく見えるのか?というようなことは教えて頂きました。その中で、「弁護士は法律オタク」という話になり、好きだからこそ難しい専門用語も覚えられるし、法律について追求できるのかなと考えると、僕も好きなことには没頭するタイプなので、その共通性から弁護士に対して構えていた部分が少し和らぎました。

-とはいえ、撮影は専門用語もあるから大変そうですね。

 苦労だらけです(笑)。刑法とか、人生で初めてしゃべることばかりで、口に癖がついていないので、毎日1回は声に出して台本を読んでいます。それでもせりふは忘れるし、かむし、「本番!」と言われると緊張するので、毎シーン、大変です。

-田口のキャラクターをどう解釈して臨んでいますか。

 初めて台本を読んだときは、人間離れした毒のある面白いキャラクターだと思いましたが、演じてみると、弁護士として純粋な志を持っていて、ときには空回りするほど熱い、単純でかわいらしい人だと感じるようになりました。格好つけるタイプでもあるので、そういうときはスタイリッシュに演じています。

-弁護士という職業にどのような印象を持ちましたか。

 困っている方の気持ちをくんで、ちょっとでも悩みを軽くしてあげられることは魅力ですよね。以前、友だちが「昔は石や刀を武器にして相手を攻撃したり、自分を守っていたりしていたけど、今の時代の武器は法律だから」と言っていたのですが、なるほどなと思いました。確かに、法律は自分や依頼人を守り、悪いことを悪いと突きつけられる武器ですよね。

-ご自身は悩みを相談する方ですか、される方ですか。

 どちらかというと相談されることの方が多くて、そういうときは、「そうではないんじゃない?」みたいな否定はせずに、なるべく相手に心を寄せて、ちゃんと話を聞いて、自分の体験も交え、いろんな選択肢を提案するようにしています。自分の悩みは自分で極力解決しています。

-本作の舞台は高校ですが、高校時代はどのような生徒でしたか。

 元気いっぱいで、一人でギャグをするような盛り上げ役でした。基本、滑っていましたけど(笑)。楽しく授業ができないかなとか、学校と生徒をうまくつなげられたらいいなとか考えて、学級委員長もやっていました。入学前に周りの大人たちから「3年間は長いようで短いから絶対に楽しんだ方がいい」と言われていたので、自分なりにすごく楽しもう!と思っていました。

-学校と生徒の間に立っていたところは田口に通じますね。

 田口は「これが法律です」と言いますが、僕は「これが社会なんだよ」と言っていました。僕は、教育や人格形成は家庭で培うもの、義務教育を終えた後の高校では、他人とのコミュニケーション能力、社会に出たときの規則やマナー、会社での上下関係などを学ぶ場所だと思っていたので、何かに対して文句を言う生徒には「これは学校が決めたことだから、とやかく言っても仕方がない。自分の都合による発言は却下します」と言っていました。そういうバッサリ切る感じは田口と似ていたかもしれないです。

-特に印象的な思い出を教えてください。

 体育祭は本当に楽しかったです。徒競走で1位になりたくて、前日に公園で重りを持って走っていました。2年生のときの世界史の先生は授業が分かりやすくて、面白くて、生徒の気持ちに寄り添ってくれる方で、大好きだったので、学年最後のテストでは、先生のために絶対に百点を取ろうと頑張って取ることができました。戻ってきたテスト用紙には「有終の美」と書いてありました。

-ちなみに、第1話で三浦先生(田辺誠一)がアメ、田口がムチになって学校問題に取り組みますが、ご自身が奮起するためにはどちらが必要ですか。

 確実にアメです!「君ならできるよ!」と褒めて貰えたら頑張れます。ムチもいいとは思いますが、ムチを打たれ過ぎると落ち込んでしまいます。

(取材・文/錦怜那)

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