『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『ファミリー・ツリー』『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督の最新作『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』で名優ブルース・ダーンが主演を務めている。1960年に映画デビューを果たし、これまで極悪人や犯人、コワモテの役どころを多く演じてきたダーンは、本作でどうにも頼りのない頑固ジイさんのウディを演じ、アカデミー主演男優賞の候補に名があがっている。

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本作は「100万ドルをお支払い致します」と書かれたインチキな手紙を信じ、ネブラスカまで賞金をとりに行くと言ってきかない頑固者の父ウディと、しょうがなく父を車に乗せた息子デイビッドの旅を通じて、家族の深いつながりを描き出す感動作だ。

半世紀以上ものキャリアをもつダーンでも本作は“挑戦”だった。彼は「今まで私が演じてきたどの役とも似ていなかった。アレクサンダー・ペイン監督から、個性を捨てて全く新しい方向性を探ってほしいと頼まれた時は、非常に嬉しかった」と振り返る。「もう何年もの間『ただダーンっぽくやってくれればいい』と言われてきた。私はダーンっぽくやるのに飽きていた。そこへアレクサンダーが、もっと違うものを携えてやって来たんだ」。

そんな彼が演じたウディは、妻や息子の忠告を聞かず、ネブラスカ州に行くと決めたらハイウェイを徒歩で歩こうとするほど一本気な男だが悪人ではない。「ウディは、怒りの反逆者でも危険な殺し屋でもない。ずっと同じ生き方をしている男で、変化に興味がない。ある意味、アメリカを築いた彼のような人々にとってのモニュメントだ。ウディは、人生最後には幸運が舞い込むと信じている男だ。夢見ることはずっと昔にやめたけれど、最後には自分のやり方で人生を終えようと決心している」。

「最初に脚本を読んだ時に、全力で追及しなければいけない役だと分かった」というダーンは、じっくりと役を分析し、抑制した表情やセリフで表情豊かな“ウディ像”を作り上げた。「私の全キャリアの中でも、こんなにも素晴らしい役をもらったのは初めてだ。それにこんなにも監督に恵まれたこともなかった。アレクサンダーとの仕事では、毎日のように今まで一度もやったことがないことができるかもしれないと思える。何日もの間、彼は奇跡を起こし続けるんだ」。

ウディは人生の“終わり”を見つめて旅をするが、ダーンにとって本作は“はじめて”の連続だ。多くの映画ファンを魅了してきた名優が初めて見せる表情に注目してほしい。

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
2月28日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

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