三池崇史監督

日本映画界を代表するヒットメーカーにして、途切れることなく新作を発表するハードワーカーである三池崇史監督が最新作『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』の公開を前に、取材に応じた。「何もしていない日はないですね。お正月の3が日くらいは休みますけど(笑)。でも作品はもちろん、ひとつのシーンとっても全く同じ瞬間はありませんから、常に新鮮な気持ちでいられるんです」。生田斗真を主演に迎えた最新作もまた、走り続ける三池監督の勢いそのままに何でもアリの“三池節”全開の作品だ。

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高橋のぼる氏の人気コミックを、「あまちゃん」の宮藤官九郎による脚本で映画化。生田演じる“金髪で童貞”の落ちこぼれ警察官・菊川玲二が潜入捜査官“モグラ”として犯罪組織に潜り込み、ターゲット検挙に悪戦苦闘する姿を描く。

初タッグとなった生田を「飄々とした強さがある」と評し、「映画が完成した今では、生田君以外にイメージできないほどピッタリな役柄だった。ファンにとっては今まで見たことがない“生田斗真”だろうし、本人も普段とは違う自分を見せたいという気持ちがあったはず」と体当たりの奮闘に賛辞を惜しまない。

そんな生田演じる主人公・玲二が、空回りを積み重ねながら真正面に困難と向き合う姿は、等身大のヒーローという言葉がふさわしい。「今の時代は主人公が発するメッセージに、そのまま観客が共感するという構図になっているような気がする。でも玲二は、ただ生きているだけ。何かを伝えたいとか、ましてや彼自身がメッセージを伝える道具ではないからこそ、制御できないエネルギーが生み出される。それが本来のヒーローなんじゃないかなと思いますね」。

生田ファンはもちろん「中学生、高校生の男の子に見てほしいですね。動物的なカンや嗅覚が最も優れた彼らに、『玲二、カッコいい』って思ってもらえたらうれしいし、この作品をきっかけにいろんな映画があっていいんだと若い世代に知ってもらいたい」と三池監督。2014年は本作を皮切りに、市川海老蔵主演の『喰女 クイメ』、人気コミックを映画化する『神さまの言うとおり』が相次いで公開。さらなる新作の撮影も準備中で「来年の夏まで、今までにないくらいハードなスケジュールになっている」のだとか。年に休みは3日だけ(!?)の三池監督の快進撃は止まらない。

『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』
2月15日(土)全国東宝系公開

取材・文・写真:内田 涼