【TVドラマ】高い満足度の『専業主婦探偵』~11年秋冬総評(後編)

2012.1.1 6:00

2011年10~12月期の連ドラは大盛況。『家政婦のミタ』最終回は視聴率40%を記録。それ以外のドラマでも軒並み良い結果が多かった歴史的なクールを振り返ります。

さて、後編は個人的な満足度の順位から。あくまでも私的な独断と偏見による順位なので、自分の満足度と違っていても怒らないよーに。結果はこんな感じ。

家政婦のミタ ★★★★★
専業主婦探偵~私はシャドウ~ ★★★★★
11人もいる! ★★★★☆
妖怪人間ベム ★★★★☆
私が恋愛できない理由 ★★★☆☆
蜜の味 ★★★☆☆
DOCTORS~最強の名医~ ★★★☆☆
謎解きはディナーのあとで ★★☆☆☆
南極大陸 ★☆☆☆☆
僕とスターの99日 ★☆☆☆☆
俺の空~刑事編~ ★☆☆☆☆
HUNTER~その女たち、賞金稼ぎ~ ★☆☆☆☆
ランナウェイ~愛する君のために~ ★☆☆☆☆


『家政婦のミタ』の満足度はやはり高かった。ただ、最終回だけを見て、こういうドラマだったのかと、何となく納得してもらいたくない気はする。ピークはその前の第10話だったので。阿須田家とミタ(松嶋菜々子)の変化が一番よく表れた回だったし、亡くなった阿須田家の母親の気持ちをミタが代弁するシーンは最も心に残った。

スタート直後の恵一(長谷川博己)のキャラクターは、子供たちのことを愛せず、不倫をして離婚まで考え、妻に自殺を決意させるようなひどい父親だった。でも、その必然性はあったと思う。そんな無茶苦茶な自分でも残された子供たちと前を向いて生きていこうと思うと、恵一がミタに宣言したところは、ミタの過去も悲惨だっただけに説得力が出た。
ただ、うらら(相武紗季)のキャラクターはやや曖昧だったような気がする。一応、自分から何かするとロクなことがないとか、やたらと災難が振りかかるとかでミタとの共通性を出していたけど、昔のミタと重ね合わせるにはムリがあった。ミタが本当の家族になる展開は絶対にない内容だったので、うららの存在は必要だったけど、もう少しキャラクターを落ち着けたほうがよかったと思う。

ミタのキャラクターにインパクトがあったのは、その表面的な言動よりも、最初からミタが死んだ夫と息子の元へ自分も行きたいと願っていたところにあったと思う。それは初回から貫かれていたし、だからこそ終盤のミタの変化、たった一度の笑顔に心が動かされた。松嶋菜々子は、結婚・出産後、何となくイメージを守りに来てたような気がしてたけど、この役を徹底した姿勢でやり遂げたのは、賞賛に値すると思う。

いずれにしても「亡くなった家族の元へ行きたい、自分だけが幸せになることはできない」と思っている人へ、「笑ってもいいんだ、どこかで折り合いをつけて前へ進むべきなんだ」と伝えた内容は、震災後のドラマとして意味があったと思う。

『専業主婦探偵』は、視聴率が高くなかっただけに、今期の中で一番見て得した気分になれた作品。とにかく面白かった。武文(藤木直人)と部長(石田ゆり子)の一夜は、じつは何もなかったと強引に言い訳するやり方もあったと思う。でも、ハッキリと浮気したと認め、それを武文が芹菜(深田恭子)に告げたところは攻めた展開だった。芹菜にもフミくん以外の人とキスしたと言わせ、「夫婦って全部知らないほうがいいのかもね」という着地点に持っていったのは、ちょっと大人の味付けで悪くなかったと思う。

あと、陣内(桐谷健太)がやたらとカッコ良かった。最後に芹菜と2人で写っている写真を半分に切って渡すところなんかとくに……。原作はまったく違う結末なんだけど、ドラマ版のエンディングは芹菜と武文のハッピーエンドで良かったと思う。 



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『11人もいる!』の序盤は、正直、笑いにスムーズさが欠けていたと思う。主要キャラにコメディ経験が少なかった人もいたのが原因だったかもしれない。でも、中盤以降は大いに笑えて泣けた。毎回、ドラマの最後のほうで流れていたショートソングが、最終回で繋がれてかなりの名曲になったのもスゴかったと思う。

とにかく幽霊であるメグミ(広末涼子)が、最後に消えたりするのではなく、ずっと家族と一緒にいるという結末が良かった。被災地から避難してきた子供のエピソードもあったけど、このドラマも『家政婦のミタ』とは別のテイストで震災後の家族のあり方を描いた秀作だったと思う。






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『妖怪人間ベム』は、ドラマ版としてのベム・ベラ・ベロのキャラクターが良かった。ただ、最後は3人がどうして生まれたのか、どうすれば人間になれるのかが詳しく説明され過ぎて、かなり子供向けになってしまった印象はあった。それでも、作品が持つテーマとエンターテイメント性は維持されたと思う。

建物が火事になって3人が姿を消すという結末はアニメ版と同じだったけど、その後に3人が生き続けていることがハッキリ分かるような終わらせ方にしたのは悪くなかったんじゃないだろうか。終盤はテレビドラマらしく、親切過ぎるくらい親切なまとめ方だった。

『私が恋愛できない理由』は、咲(吉高由里子)が就職浪人、真子(大島優子)が派遣社員という設定にも関わらず、メインの3人が真子の伯母が所有するかなり大きな一軒家を借りて住んでいたので、ちょっとバブリーな雰囲気が出てしまった感じ。でも、藤井(香里奈)の選択は最後までいろいろな可能性を残しながら引っ張ったし、咲と拓海(萩原聖人)と美鈴(稲森いずみ)のパーツは最初から最後まで太いエピソードで芯が通っていたので、継続して見させる力はあったと思う。

ただ、真子に絡んだ男性陣の描き方がやや浅かったのは残念。最後に登場した榎本(青柳翔)と真子の関係にいたっては、かなり強引な展開でまとめた印象だった。





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『蜜の味』は、ちょっと想像と違うエンディングだった。ある意味、ストレートな結末で……。でも、直子(榮倉奈々)の両親もしっかりとストーリーに組み込んだ終盤は見応えがあった。そのおかげで、直子の「残酷な一途さ」と「常識や道徳の向こう側にある誰もつかめない愛」も表現できていたと思う。

個人的には、10話で彩(菅野美穂)が最後の賭けに出て負けたあと、ラストで直子と雅人(ARATA)に医師としての姿を見せるまでの心理描写を、もう少し丁寧に描いて欲しかった気はする。まあ、かなりぶっ飛んだ内容ではあったけど、榮倉奈々の経験値は上がったんじゃないだろうか。



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フジテレビジョン(2012年3月28日発売予定)
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『DOCTORS』は、医師を主人公にした医療モノというありふれた設定なのに、意外と企画が良かった。相良(沢村一樹)のキャラクターはじつに魅力的で、今期の大穴作品だったと言ってもいいと思う。テレ朝らしいB級テイストが炸裂していて、最初は森山(高嶋政伸)のキャラも苦笑ものだったけど、最後まで見るとバランスの取れた内容だった。

宮部(比嘉愛未)の気持ちはラストにもう少し描いてもよかったと思う。でも、これは続編かスペシャルを視野に入れているんだろうな。いろんなドラマでいろんな役をやってきた沢村一樹だけど、じつは一番ハマっている役のような気もするので、続編もアリだと思う。
 


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テレビ朝日(2012年4月6日発売予定)
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『謎解きはディナーのあとで』は、個人的にコメディの色が合わなかった。7話以降は最後にシリアスなまとめが入ってメリハリがついたけど、風祭(椎名桔平)のキャラを筆頭にもう少し別の笑いが欲しかった。

『南極大陸』と『僕とスターの99日』は、とにかくもったいなかったということで。『俺の空』は、オーディションで選ばれた新人俳優を、松重豊、遠藤憲一、国仲涼子らが一生懸命支えていたところにプロの姿を見た。

『HUNTER』と『ランナウェイ』は、最終的に警察の上層部にワルがいて、登場人物たちがネットで煽られ、結局はネットを使ってピンチを脱するという内容がまるかぶりだった。どちらも、もう少し企画の先を練って欲しかった。


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TBS(2012年3月16日発売予定) 15,362円

 

※『僕とスターの99日』『俺の空~刑事編~』『HUNTER~その女たち、賞金稼ぎ~』とともに予約受付中


今期は、全体的に原作モノとオリジナル作品のバランスがよかったと思う。脚本の質が重要であることが改めて立証された形で、個人的にはオリジナルの『家政婦のミタ』と原作モノの『専業主婦探偵』が、どちらも質の高い脚本で満足だった。

ドラマ好きとしては、オリジナルの作品が増えるのはうれしい。でも、実績のある原作をドラマ化すること自体が悪いわけじゃない。それをテレビドラマにする上で、しっかりと脚本を練って欲しいだけだ。そういう意味でも、今期は『家政婦のミタ』と『専業主婦探偵』の両方を見られたことがうれしかった。

 

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。

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