ゴジラをバックにポーズをとる井上道義(写真左)と安倍圭子(同右) ゴジラをバックにポーズをとる井上道義(写真左)と安倍圭子(同右)

日本のクラシック音楽界に大きな影響を与えた音楽家を紹介する横浜みなとみらいホール「グレート・アーティスト・シリーズ~楽壇を育てた日本の巨匠たち~」。シリーズ第2弾「伊福部昭 生誕100年メモリアルコンサート」の記者発表が2月4日に同ホールで行われた。

「グレート・アーティスト・シリーズ~楽壇を育てた日本の巨匠たち~Vol.2 伊福部昭 生誕100年メモリアルコンサート」の公演情報

指揮者・作曲家として活躍した山田一雄[1912~1991年]をテーマに開催された第1弾に続き、今回スポットを当てるのは、生誕100年を迎えた作曲家・伊福部昭。『ゴジラ』をはじめとする数多くの映画に携わった映画音楽作曲家としての一面と、アイヌ文化などに影響を受けた土俗的エネルギー溢れる作品を残したクラシック作曲家としての一面を取り上げる。指揮は、伊福部の名曲「管絃楽のための日本組曲」の初演を手がけた井上道義。「オーケストラとマリンバのための『ラウダ・コンチェルタータ』」では、初演ソリストを務めたマリンバ奏者の安倍圭子を迎える。

記者発表には、井上道義と安倍圭子、そして伊福部の弟子で公演を監修する作曲家の和田薫らが登壇。井上道義は「何故いま伊福部作品が面白いのか。日本において輸入文化のクラシック音楽は、お稽古事としての側面が強く、あまり生活に密着していなかった。でも伊福部さんの音楽は、日本人が作ったにも関わらずスケールが大きい。しかも、わび・さびではなく、ある意味庶民的で土俗的で、歌舞伎の見得のように力強い。伝統的なお祭りでみせるような日本人の気質に通じるところもあると思います」とその魅力を語る。

世界的マリンバ奏者の安倍圭子は、アイヌ民族をイメージした衣装を身につけて登壇。公演当日も同じ衣装でステージに立つ予定という。「ラウダ・コンチェルタータ初演の音合わせでは、オケの音がすごく鳴る一方、マリンバの音がとても惨めに感じたんです。伊福部先生はオーケストレーションの大家でしたから。その後、マリンバとして説得力のある響きにしたいと先生と相談し、試行錯誤しながら作り上げたのは今も思い出。今回で演奏するのは60回目。私にとって人生です」と思い入れを語る。

公演を監修する和田薫は「伊福部先生の道のりは決して平坦なものではなく、1980年代までは不遇の時代。映画『ゴジラ』の音楽、そして安倍先生初演の『ラウダ・コンチェルタータ』などを契機にようやく評価の気運が芽生え、現在に至っています。ひとりのファンとしても今回の公演を今後100年に受け継がれるようなものにしたいです」と意気込み述べた。

本公演で注目なのは、映画『ゴジラvsモスラ』の音楽にあわせた3Dプロジェクションマッピング演出。みなとみらいエリアを舞台に繰り広げられたクライマックスのバトルシーンなど、迫力の映像がみなとみらいホールのパイプオルガンに投影される。

「グレート・アーティスト・シリーズ~楽壇を育てた日本の巨匠たち~Vol.2 伊福部昭 生誕100年メモリアルコンサート」は、2月27日(木)に横浜みなとみらいホールで開催。