『ウォルト・ディズニーの約束』(C)2013 Disney Enterprises. Inc

製作50周年を迎える傑作映画『メリー・ポピンズ』の誕生秘話を描いた映画『ウォルト・ディズニーの約束』が3月から公開される。本作はタイトル通り、ウォルト・ディズニーが“登場人物”として描かれる作品で、名優トム・ハンクスがウォルト役を演じている。

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本作は、米アカデミー賞で5部門に輝いた『メリー・ポピンズ』の製作の裏側を題材にした物語。本作の原作者トラヴァース夫人はアニメもミュージカルも大嫌いで、自作の映画化には難色をしめすも、製作者のウォルト・ディズニーは本作を何とかして実現したいと奔走する。映画は、ふたりの駆け引きと、トラヴァースが映画化を嫌がり、冷たく振舞う“理由”を描き出していく。

ウォルト・ディズニーほど愛され、多くの功績を残し、今もなお語り継がれている映画人はいないのではないだろうか。彼の残した作品はいまも多くの観客を魅了し、彼の夢の結晶ともいえるディズニーランドは世界に広がっている。『メリー・ポピンズ』の音楽を手がけたロバート・シャーマンは「ウォルトにはものすごいカリスマ性がありました。とにかく驚異的な男でしたよ。彼は人との話し方を心得ていたので、誰もが、彼と自分が話していると感じられます。演説をすることはせず、彼らと直に話すのです」と振り返る。

多くの写真を残し、テレビに出演し、ディズニーランドに行けばミッキーと手をつないでゲストを出迎えてくれるウォルトだが、彼自身を登場人物にした本格的な映画は『ウォルト・ディズニーの約束』が初めてだ。カリスマ性があり、親しみやすく、明るく愉快なウォルトを一体、誰が演じるのか? 製作陣が出した答えはオスカー俳優トム・ハンクスだった。「自分の見た目も声もウォルトには似ていない」というハンクスは「どうにかして、彼の眼の中にあるあの奇抜な雰囲気を出すこと、そしてそれにともなう鋭い眼識を出すこと」を目指したという。ハンクスはこれまでに多くの作品で実在の人物を演じており、“見た目”を似せることが演じる上で最重要事項ではないことを知っている。ちなみに、ハンクスも見た目こそは少し違えど、カリスマ性と親しみやすさと明るさを観る者に感じさせる俳優だ。

ロバート・シャーマンは惜しくも2012年春にこの世を去ったが、ハンクスの演技を観ており「トムのウォルトはとにかく並外れた演技でしたね。ウォルトと私自身を見ているような思いでした。素晴らしかった。ウォルト・ディズニーを演じられる役者は、私が想像する限り、世界中にトムしかいません。彼は実に素晴らしい仕事をしています」とコメントしている。誰もがその名を知っているウォルト・ディズニーとは一体、どんな人物だったのか? 彼の“内面”を名優トム・ハンクスがどう演じるのか? 来月の公開を待ちたい。

『ウォルト・ディズニーの約束』
3月21日(金・祝)ロードショー