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『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(1月5日公開)

 自らを「エクスペンダブルズ=消耗品」と名乗り、CIAから依頼される数々の難関ミッションを遂行してきた最強の傭兵軍団を率いるバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)が、CIAからの新たな依頼に応えるため、かつての相棒であるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)のもとを訪れる。

 再びバーニーと組むことを決意したリーがエクスペンダブルズの巣窟に足を運ぶと、そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも顔をそろえていた。新戦力を加えた彼らが挑む今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし失敗すれば、第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだった。

 スタローンを筆頭に、アクションスターが多数集結して話題を集めたシリーズの第4弾で監督はスコット・ウォー。とはいえ、スタローンとステイサムのほかの生き残り組みはドルフ・ラングレンとランディ・クートゥアのみ。新加入はミーガン・フォックスとカーティス・“50セント”・ジャクソン、ジェイコブ・スキピオほか。というわけで、メンバーの格落ち感は否めない。何だか「荒野の七人」シリーズのキャストがどんどんと格落ちしていったのと重なるようでちょっと寂しい。

 そして、この映画の主役は製作兼任のステイサムでスタローンは脇に回っている。これはロッキーがトレーナーになった「クリード」シリーズ同様のバトンタッチかと思いきや、物語の鍵を握るアンディ・ガルシアの存在も含めて、2人ともただでは終わらない。どうなるかは見てのお楽しみ。

 タイのトニー・ジャーとインドネシアのイコ・ウワイスが大活躍を見せ、エクスペンダブルズの今回のリーダーを女性のフォックスにするなど、アジアやジェンダーを意識した作りになっているが、全体的にはお気楽そのもの。これを時代錯誤と言おうか、それともこういう映画にこだわり続けるスタローンたちをあっぱれと言うべきか。

『シャクラ』(1月5日公開)

 少林寺で修業し、丐幇(かいほう)の幇主となった喬峯(きょうほう=ドニー・イェン)は、仲間からも慕われる英雄的な存在だったが、ある日、副幇殺しのぬれぎぬを着せられる。さらに、漢民族ではなく契丹人であるという出自まで暴かれ、丐幇から追放された喬峯は、自分を陥れた黒幕の行方と自身の出生の真実を求めて旅に出る。

 ところが、敵のわなにはまり、養父母と少林寺の師匠殺しの容疑をかけられた喬峯は、自らが繰り出した大金剛拳によって重傷を負った阿朱(チェン・ユーチー)を救うため、敵が集結する聚賢荘へと向かう。

 『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』(16)『ジョン・ウィック コンセクエンス』(23)など、ハリウッド大作でも活躍する香港のアクションスター、ドニー・イェンが、製作・監督・主演を務めた武侠アクション。

 香港を代表する武侠作家・金庸の長編小説『天龍八部』を原作に、4人の主人公のうちの1人である無敵の武芸者・喬峯の活躍を描く。「るろうに剣心」シリーズなどでアクションシーンを担当した谷垣健治がアクション監督を務めた。

 ドニー演じる喬峯は、武芸の達人であるばかりでなく超能力も使う。それ故、生身とワイヤとCGを組み合わせたすさまじいばかりのアクションが展開する。加えて、馬を駆使したアクションもあり、音楽にはマカロニウェスタン風なところも。おまけに喬峯と阿朱との恋模様もあり、まさに何でもありの伝奇ロマンという感じだ。とにかく喬峯が強過ぎて、あぜんとさせられる。

 登場人物が多い割には、彼らに関する説明が足りないので、ストーリーには分かりづらいところもあるが、原作は、4人の主人公がいる大長編で、ドニーはこの映画を中国版のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の一編として考えているらしいので、どうやらこれは“序章”という位置づけになるようだ。それにしてもすさまじい序章だ。

(田中雄二)