<地域No.1店舗の売れる秘訣・ケーズデンキ新守山店>競合店のすき間を縫う出店戦略 名古屋駅周辺から顧客を奪う

2014.2.19 11:25配信

再開発で発展するJR名古屋駅周辺に大手家電量販店が続々と出店するなかで、あくまでも地元密着型の郊外型店舗に力を入れているのがケーズホールディングスだ。2013年11月21日、子会社のギガスが守山区にケーズデンキ新守山店をオープン。守山区のなかでも新守山という競合店がない場所への出店で、これまで市内中心部で家電を購入していた層を吸引する。(取材・文/佐相彰彦)

ケーズデンキ新守山店

店舗データ

住所 愛知県名古屋市守山区新守山704番

オープン日 2013年11月21日

売り場面積 約3500m2

従業員数 約25人

●再開発と古い街並み 少ない家電量販店の出店

名古屋市の北部に位置し、山間部に近い守山区は、自然豊かな環境と都市部でありながら手頃な価格で広い住宅を手に入れられることから、人口が増え続けている。マンションの新築も相次ぎ、2012年まで約16万だった人口は、13年10月には17万を超えた。JR中央本線や区の東西を横断する名古屋鉄道瀬戸線、南北を縦断するゆとりーとラインなど、鉄道網が充実していることも魅力。北東部は愛知県森林公園などの豊かな自然が残り、南西部は昔ながらの一戸建て住宅が連なる町並みで古くからの住民が多い。

新たな活力を蓄えつつある街は、大手家電量販店の格好の出店地になる。ヤマダ電機は、東名阪自動車道の松川戸インター近くにテックランド守山店を出店。もともと名古屋を地盤とするエディオンは、守山区役所近くにキソジ小幡店を構える。エディオンは守山区に隣接する東区にある大型ショッピングセンターのメッツ大曽根内にもテナント出店している。

ヤマダ電機とエディオンが激しい競争を繰り広げる守山区で勝負を挑んだのが、ケーズホールディングスグループで名古屋市を本拠地とするギガスだ。13年11月21日、JR新守山駅から徒歩圏内の地にケーズデンキ新守山店をオープンした。近くには、総合スーパーのアピタ新守山やホームセンターのロイヤルホームセンター新守山店などを擁するJR貨物のJRF新守山ショッピングセンターがあって、地元住民のショッピングゾーンになっている。吉川忠彰店長は、「守山区のなかでも、ヤマダ電機とエディオンが出店していないすき間への出店。オープン当初、予想を上回るほどのお客様にお越しいただいた」と手応えを語る。

●近隣の60歳以上を固定客に 気軽に来店できる売り場づくり

ケーズデンキ新守山店は売り場面積が約3500m2と、郊外型店舗としては標準的な広さ。新守山駅から徒歩圏内にある住宅街での出店ということから、「平日には近隣にお住まいの方が歩いて来店される。新守山駅を利用する会社員や学生が帰宅の際にちょっと立ち寄られることも多い」と、吉川店長は説明する。約160台収容の駐車場を完備し、「休日には、春日井市や東区など、隣接する地域から家族連れが来店される」という。お客様のなかで圧倒的に多いのは60歳以上の年齢層。すでに固定客になり、1日に1回、必ず訪れるお客様もいるそうだ。

こうした固定客を確保できたのは、「新守山駅周辺に家電量販店がなかったから」と、吉川店長はにらんでいる。区内にはヤマダ電機テックランド守山店とエディオンキソジ小幡店があるが、両店とも新守山からは遠く、電車かクルマで行かねばならない。「お客様のなかには、『近くに家電量販店がなくて困っていた』と打ち明ける方もいらした」(吉川店長)。ケーズデンキ新守山店は、最高の空白地帯に出店したわけだ。

住民が「困っていた」理由は、近くにデジタル機器・家電製品の修理を気軽に依頼できる店がなかったから。ケーズデンキ新守山店の修理・部品受付カウンターは「客足が絶えない」(吉川店長)という。機器の使い方を聞くために来店するお客様も多く、「スタッフとの日常会話を通じて使い方を覚えたいというお客様が多い」という。

商品は、白物家電が中心。とくに、女性に来店してもらえるよう、理美容品を充実させ、「新商品には特別な棚を用意して、前面に押し出している」という。理美容品のなかで一番の売れ筋は、ヘアカールアイロンの一種、ミラカール。吉川店長は、「製品の存在自体を知らないお客様が多かった。スタッフが実際に試した写真を置き、使い方を詳しく説明することで売れるようになった」と、接客にも自信をみせる。

JRF新守山ショッピングセンターの存在も、プラスに働いている。「ショッピングセンターで人気の高い商品を置くようにするなど、積極的に見習っている」と、吉川店長は他業界に学ぶ姿勢をみせる。代表的な成功例がスチームクリーナーで、休日に家族連れが購入していくそうだ。

サポート、接客、品揃えに工夫を凝らし、オープンから3か月で多くの近隣住民を顧客にしたケーズデンキ新守山店。JR名古屋駅周辺の都市型店舗に、郊外店がシェアを奪われつつあるなかで、「名古屋駅まで行かなくても、当店にご来店いただければすべてが完結するということを、お客様に根づかせていきたい」と意気込んでいる。

●店長が語る人気の理由――吉川忠彰 店長

名古屋市の出身で、これまでオール電化など商品の仕入れ担当や、名古屋市吹上店の店長を務めた吉川店長。「私を含めて、名古屋市民は保守的で、質の高いサービスを求めている」と分析する。地域密着型の郊外店として、住民が求める品揃えと、気持ちを察した接客を進める。「気軽に行くことができる店舗」ということがクチコミで広がれば、「遠方の方でもお得意様にできる」と考えている。

ギガスは名古屋市が本拠地だが、エイデン(現エディオン)と比べると知名度は低い。しかし、「今の名は全国区のケーズデンキ。チャレンジャーの立場から、競合店ではまねできないことに取り組んでいく」と、これからの店舗運営を語った。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年2月10日付 vol.1517より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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