おまたはタブーか

骨盤底筋体操の効果を確かめるためには、実際に膣に指を入れて締り具合を確かめるのが一番ですが、それに抵抗がある人は少なくありません。

骨盤底筋のある場所は、いわゆる膣を含む女性器のある「おまた」と呼ばれる一帯です。そして、日本ではまだまだその部分に対する根強いタブー観があります。
それは、「おまた」を「会陰」と言い変えても同じことです。

たとえば、妊娠中に、病院や産院で推奨されている「会陰マッサージ」というものがあります。安産のため、出産直前まですると効果があるとされていますが、『ちつのトリセツ』によると、やり方を知っていても実際にはやらなかった人が48%にも上るのだそうです。

出産に向けて、会陰とその周辺を柔らかい状態にしておくことが目的のマッサージですから、当然、自分の陰部に触ることになります。やり方を知っていても実際にはやらなかった人が理由としてあげた回答の中でトップが「会陰(女性器)を触ることに対する抵抗を感じた」というものでした。

小さな女の子がおまたを触ると「はしたない!」と言って親がとがめる場面、たまに見かけませんか? 子どもが鼻をほじっていても、そこまで過剰に反応しませんよね。

自分の女性器を見るのがこわい、という女性も少なくありません。そもそも、女性の身体のなかで、これだけ「ないこと」にされている部位は他にないのではないでしょうか。

女性器の場所を、セックスや出産をして初めて知ったという人も珍しくないようです。いえ、それで知ったのなら、まだましかもしれません。

原田純さんも、そこまでではなかったにしろ、「膣って言葉を口にすることもできなかったんです。そういう下品なことは、なるべく触れずに過ごしたいと思っていました」だそうです。

女性器の劣化とは?

原田純さんは、37年前に出産。当時未熟児だった娘さんのために、産後退院するとすぐに毎日1時間かけて、母乳を飲ませるため病院に通ったそうです。産後ケアなんて言葉のなかった時代のことです。

働くママだった原田さんは、その後、離婚。再婚した夫とセックスレスの期間を経て別居、二度目の離婚を経験されました。

日々、ストレスを抱えながら忙しく子育てに立ち向かっているママたちの姿と、どこか重なるところもあります。

『ちつのトリセツ』の指導・監修を務めるたつのゆりこさんに出会うまでは、もう年齢も年齢だし、女性としての人生は終わりとまで思っていた原田さんが、たつのさんによって女性器も劣化することを知り、実際に自分の女性器の状態を確認。愕然とするところから『ちつのトリセツ』は始まります。

女性器はケアしないと劣化すると説くたつのさんに、原田さんは、もう使うこともないだろうからと、としどろもどろで反論します。

たつのさんによれば、女性器の劣化とは、具体的に言うと、膣が委縮して乾燥したり、たるんだりすること。劣化すれば女性器の機能が低下するだけでなく、脳にも精神にも影響が出てくると言うのです。

初めは半信半疑だった原田さんが、果敢にも、たつのさんの指導のもと、セルフケアを行った結果、長年の体質だからとあきらめていた冷え症や便秘が改善、子宮下垂や直腸瘤(直腸脱の手前の症状で、これが便秘の原因だったそう)まで完治。さらに猫背や巻き爪まで治ったというのですから、驚きです。

セルフケアの方法は、大まかにいって3つあります。

1オイルケア入浴となで洗い

2会陰マッサージ

3骨盤底筋体操

1は、入浴前にオイルを全身に塗り、ある程度身体があたたまってオイルが肌から浸透した後、なで洗いをして湯船につかる、というものです。

ベトベトになってしまうんではないか、と原田さんにお聞きしたところ、そんなに大量につける必要はない、と笑われてしまいました。忙しい時は、全身ではなく気になるところだけでもよいとのことです。

2の会陰マッサージに抵抗がある人は、中に指を入れずに外性器や肛門まわりにやさしくオイルを塗りこむだけでもいいのだとか。あせらず、あわてず、自分の身体をいつくしむ気持ちですることが大事なのだと思いました。生理中や体調がすぐれない時には無理して行わないでくださいね。

3の骨盤底筋体操は、会陰マッサージで膣のなかに指を入れることに慣れてからするとよいでしょう。単独ではなく、1、2と並行して行うことで、効果が上がるそうです。本書では、尿道括約筋と肛門括約筋をそれぞれ鍛える体操のやり方が、イラストつきで説明されています。

また、市販されているひょうたん状の膣ボールなどのグッズも、骨盤底筋を感じやすくするために一役買ってくれそうです。

原田さんの体験が、かなり赤裸々に、細かく書いてあるので、詳しくはぜひ本書を読んでみてください。 

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