カシオが95年に発売し、家庭用デジカメ市場拡大のきっかけとなった「QV-10」

カシオ計算機は4月24日、2018年3月期(17年4月~18年3月)の連結業績予想を下方修正した。当初は増収増益を見込んでいたが、デジタルカメラの販売不振などが原因で、減収・営業減益の予想に一転した。また、日本経済新聞は25日付朝刊で、カシオがコンパクトデジカメ事業から撤退する方針を固めたと報じた。

18年3月期の売上高は、期初に発表していた予想から10.3%減となる3140億円となる見込み。営業利益は同13.2%減の295億円、経常利益は同10.9%減の285億円、純利益は同13.3%減の195億円としている。売上高、営業利益、経常利益は前年同期比で減少となる。

カシオでは売上減の主要因を「コンパクト市場の激減によるデジタルカメラ事業の戦略転換及び楽器の事業構造の見直し」と説明。コンパクトデジカメ市場の縮小で収益性が悪化する中で、魅力的な製品を生み出すための開発投資が難しかったもよう。

カシオのデジタルカメラ新製品は、昨年以降ハードウェア性能の進化を伴わないマイナーチェンジ製品で占められていた。また、例年参加していたカメラ展示会「CP+」(カメラ映像機器工業会主催)に、今年は出展を見送っていた。なお、カシオ広報ではコンパクトデジカメ事業撤退の報道について、同社が発表した内容ではないとしている。

全国の家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」では、過去1年のレンズ一体型デジタルカメラの販売台数は17年11月を除き前年割れが続いている。直近の18年1月~3月は3か月連続で、台数・金額とも前年同月比2ケタ割れとなっている。

報道をうけてBCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは「デジカメの礎を築いたのは95年にカシオが発売したQV-10だ。当初から同社はフィルムカメラに代わる何かではなく、デジタルだからこそできる画像記録ツールを目指していた。そのこだわりを貫き、カメラの枠に収まらない新たな製品ジャンルで、再び我々を驚かせてほしい」と語る。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。