濱田めぐみ  撮影:源 賀津己 濱田めぐみ  撮影:源 賀津己

アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』が4月、日本初演される。あの『オペラ座の怪人』の続編で、2010年にロンドンで開幕。今回は豪華な美術や衣裳が話題を呼んだ2011年のメルボルン版でのお目見えだ。

「ロイド=ウェバーさんにとっても、思い入れが強い作品だと聞いています」と、クリスティーヌを平原綾香とWキャストで演じる濱田めぐみは語る。「ずっと温めていらしたのでしょうね。初演後も沢山、手直しをなさっています。耳に残るメロディが多く、それに誘われて作品に入っていく感じ。ロイド=ウェバーさんが、人生の最高潮での人間関係や愛する人への思いを、体面をかなぐり捨てて音になさったのだろうなあと想像します」。

舞台は『オペラ座の怪人』の10年後。ラウルと結婚し、一子をもうけたクリスティーヌが、逼迫した家計を救うため、謎の興行師の誘いに応じて渡米し、ファントムと再会する。その歳月を感じるためにも、濱田はまず、サラ・ブライトマンが歌う『オペラ座の怪人』オリジナル版を丹念に聴き直してから、本作に入ったという。

「『オペラ座~』のクリスティーヌは少女から大人になってすぐくらいでしたが、この10年で、生活の苦労も経験している。台詞が比較的ストレートだった『オペラ座~』に対し、この作品では、登場人物が皆、感情を飲み込んで本心と違う物言いをしがちなのも特徴です。10年の歳月の中で封じたものや、その鍵をガチャッと開ける瞬間なども、きちんと表現したいです」。

舞台では、瞬時にその役柄の世界観を構築し、観客を引き込む濱田。歌唱力・演技力は言うまでもないが、「ある時点でガチッとスイッチが入り、役と自分がリンクする。憑依体質なんです」とも認める。

そんな濱田はクリスティーヌを演じた後、6月にはワイルドホーン作曲のミュージカル『カルメン』でタイトルロールを演じる。「ロイド=ウェバーさんの楽曲は、付点があったりなかったり、四分音符だったり八分音符だったりと本当に細かい。それを厳格に守って歌いたいと思います。一方、ワイルドホーンさんは、自由に歌うよう言われることが多く、演じ手の個性によって“日本版”ができあがります。クリスティーヌが自分にとって新たなチャレンジでありハードルを越えられる機会だとすれば、カルメンは、ぱーっと跳躍できる役。自分の中でたぎっているものを便りに、炎を燃やして突き進みたいですね」。

『ラブ・ネバー・ダイ』は3月12日(水)より東京・日生劇場、『カルメン』は6月13日(金)より東京・天王洲 銀河劇場にて。チケットはいずれも発売中。

取材・文:高橋彩子