「はやくはやくこっちにおいでよ 君と僕は一生の…………」

期待が充満した会場を割るように響くギター。今回、映画館では足りなかった機材はすべてPAである新妻辰倫さんの持ち込み機材だという。緊張感を、深いリヴァーヴをたくわえた峯田の声が割く。1曲目は『漂流教室』だ。まだ、探り探りの感じは否めないが、しっかりと峯田の声が出ていることに感動してしまう。

主演した映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で『夢をあきらめないで』を絶唱しているシーンがあった(シングル『ボーイズ・オン・ザ・ラン』のシークレットトラックとして収録されている)。「あのとき、本当に喉がやばかったんですよ」と、彼がつぶやいていたことがあった。いま、彼の声は、しっかりと宙に伸びている。隣の女の子はぐしゃぐしゃに泣き続けていた。

「今まで出会えた全ての人々に、もう一度いつか会えたらどんなに素敵な……………ことだろう」

「君と僕は一生の友達なのさ はやくはやくこっちにおいでよ 君と僕は一生の…………」

 

彼は、「どんなに素敵な」と「ことだろう」の間にストロークをたくさん溜めた。「君と僕は一生の友達なのさ」と歌った最後のリフレインを「君と僕は一生の」で終えた。その、歌われなかった場所で鳴っている歌に、どうしたって彼の思いを想像してしまう。

たったひとりになっても銀杏BOYZを死なせなかった、峯田くんの葛藤の道のりが、彼が歌い続ける理由が、そこで鳴っているような気がしてしまうのだ。歌い終え「ありがとうございました」と口にして彼は、「歌うのは楽しいです」と続けた。