僕と吐夢との境界線がなくなった

©2024『マッチング』製作委員会

――吐夢との共通点はありますか。

愛が原動力になっているところは同じかなと感じました。僕も自分が好きなものとか、愛を注いでいるものを、人に伝えたいとか、もっと広めたいとかって思っているし。「このキャラクターみたいになりたい」と思って、自分を変えていったこともあるし。

だから根っこの部分では吐夢と近いところはあると思います。吐夢はそういう想いを表現する方法をあまり知らないだけで、僕自身も子どもの頃は上手く表現ができていなかったから。そうやって掘り下げていくと、吐夢と似ている部分が出てくるなと思っていました。

――ちなみに、吐夢が別の人物に扮して、ドア越しに声をかけるというシーンがありましたが、あの声は、実際の佐久間さんの声ですか。

僕ですね。僕の声って特徴的なので、そこは気にしながらやりました。ハキハキとしゃべるイメージのある人物の声に真似るんですけど、それは吐夢にはない要素なんです。テストの時、自分なりにやってみたら「ちょっと元気過ぎるな」って言われてしまって。だから吐夢を崩し過ぎず、吐夢の限界ってどこだろうと考えながら調節しました。

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――影山役の金子ノブアキさんとのアクションシーンはどうでしたか。

僕の中で金子さんと言えば、映画『クローズZERO II』(2009年公開)のイメージが強くて、当時、Snow Manのメンバーもめちゃくちゃハマっていたんですよ。その方と戦わせていただくということで、やっぱりテンションが上がりました(笑)。メンバーにも超自慢しましたもん。みんな「マジか!? あの金子さんと」ってなってました。

ただ、いかんせん吐夢はケンカに慣れていないから、強くないんです。そういう奴が一番危なかったりもするんですけどね。足の踏ん張りがきかなくて、倒れ込んでしまうハプニングもあったんですけど、そこもそのまま使われていました。逆にリアリティがあって良かったのかなと。「吐夢だったらこうはしないよね」というのが、僕の中にあったので、自然と吐夢としての限界をやれていたと思います。

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――演じていて印象に残ったシーンは?

斉藤由貴さん(節子役)とのシーンは印象的でした。斉藤さんが作られる空気感がすごすぎて。一緒にお芝居をしていて、自分が引き上げられる感覚がありました。僕と吐夢との境界線がなくなったと感じるぐらい入り込めました。演じるというより心から吐夢になれていたというか、芯の部分から吐夢だったというか。

カットがかかった瞬間、「すごくいい時間だった」と感じましたし、スタッフの方からも「良かったね」と声をかけていただけました。楽しかったです。

――輪花役の土屋太鳳さんとの共演はどうでしたか。

テレビとかで観ていた印象と全然変わらなくて、本当にそのままでした。みんなが思う太鳳ちゃんが、太鳳ちゃん自身もやりやすいスタイルなんだろうなって。

太鳳ちゃんは自分のことを「器用ではない」と言っていたんですけど、人の機微を感じ取って、人の心に寄り添ったり、人の気持ちを大事にできる人だなと思いました。芯が強い人というイメージです。カッコ良くて、尊敬できる方ですね。

――役作りについて話すことはありましたか。

役については全く話してないです。それぞれが現場に持ってきたものでやっていた感じです。むしろそのぐらいのほうがいいというか。二人はバディとかではないので、歯車が合わないぐらいのほうが理想かなっていうのもありました。ただそういうことすら話さずに、何となくお互いに肌感でわかるものがあったんじゃないかと思います。