木田原菜生役の奈緒

 永野芽郁演じるヒロイン・鈴愛(すずめ)の幼なじみで、町の洋品店「おしゃれ木田原」の一人娘・木田原菜生(きだはら・なお)役を演じている女優の奈緒。福岡から上京して3年、「まれ」、「わろてんか」に次ぐ3回目の朝ドラオーディションに合格して、自身と同じ響きの名前の役を演じられることを「運命」と喜ぶ奈緒が、朝ドラ初出演への意気込みや、役への思い、撮影時のエピソードなどを、うれしそうに語ってくれた。

-朝ドラ初出演のお気持ちは。

 上京して3年ですが、今までで一番大きな仕事なので、信じられない気持ちや、緊張、東京に出て来て良かったなという安心とか、いろんな感情がごちゃ混ぜになっています。発表されたときは、母が泣いて喜んでくれました。

-3回目のオーディションで手にした“朝ドラ女優”の称号にプレッシャーを感じましたか。

 プレッシャーよりも楽しみの方が大きかったです。顔合わせのときに、すごい人数の関係者がいらっしゃって驚きましたが、これだけの人が携わっている作品だと考えると心強かったし、みんなで作るものだから頼りたいときは頼ろうと思いました。

-本名と役名が同じ「なお」であることについてはどうでしょうか。

 運命ですよね! オーディションを受けたときから名前が一緒なので、すごくやりたいと思いました。今は、普通のときも、撮影のときも「なおちゃん」と呼ばれるので不思議ですが、この名前が好きなので、すごくうれしいです。私とは、この作品で「初めまして」の人が多いと思うので、たくさんの人に覚えてもらいたいです。

-役柄で自分と似ているところはありますか。

 自分の話よりみんなの話にワクワクしたり、みんなの声を聞くことが好きなところは私に近いけど、素直じゃなかったり、強がったり、言いたいことが言えないところは、なんでもすぐに言っちゃう私とは違うかな。でも、そういう部分を、鈴愛を支えたいというお姉さん的な気持ちから生まれるものだと考えると、いじらしくてかわいいなと思います。

-撮影前にはどのような準備をしましたか。

 方言での芝居をしたことがなく、一番の心配はそこだったので、最初は岐阜弁でしゃべっている動画を探して見ていましたが、ドラマオリジナルの方言も含まれると聞いたので、勉強することで逆に変になるかなと思い、途中でやめました。それからは、高校生の頃の自分を取り戻そうと、当時を思い出しながら過ごしていました。

-実際に演じる際、特に意識していることは何ですか。

 一番手放したくないのは、鈴愛を好きな気持ちや4人(鈴愛、菜生、律/佐藤健、ブッチャー/矢本悠馬)でいる時間が好きという気持ち。なので、菜生よりも鈴愛のことを考えている時間が多いし、台本も4人のところをすごく読んでしまいます。

-永野さんも4人のシーンが楽しいと話していました。

 えー、うれしい! 私もすごく楽しいです。カメラが回っていないときの、4人で普通に話しているときの空気感が撮影中にも出て、リアルな友達感が表れていると思います。

-菜生にとって鈴愛はどういう存在なのでしょうか。

 鈴愛が頑張っていたり、幸せだったりしたら、自分も頑張れたり、幸せになれたりするから、幼なじみというよりは、大好きな家族の一人です。

-そんな鈴愛に東京で“生涯の親友”小宮裕子(清野菜名)が現れますが…。

 そうなんです。新しい親友ができてしまう。どうしよう…って。台本もその辺のことが書いてあるところはあまり見られないぐらい戸惑いが大きかったです(笑)。でも、裕子ちゃんがすごくいい子だから、東京でいい子と出会ったんだなと気持ちを切り替えました。

-今後は東京編にも入り、皆さんも年を重ねていきますが、10代から40代まで幅広い年代を演じることはどうですか。

 28歳のシーンの撮影のときは、せっかく練ったプランがカメラの前に立つと出なかったことがあったんですが、そのときの演技でもいいかなと思えたので、あまり考え込まず、後は最大限、ヘアメイクさんと衣装さんに頼りたいです。性格面では、岐阜に残った分、たくましくなったようで、子供の頃よりも暴走せずに引くことを覚えている感じがあったけど、そこも北川(悦吏子)さんにお任せして、脚本のままに演じたいです。

-ヘアメイクと衣装頼みというのは永野さんと同じですね(笑)。ちなみに、永野さんにはどのような印象を持たれましたか。

 明るくて、しっかりしているし、癒やされます。自分の撮影のない日に明太子を持って遊びに行ったときは、おいしそうに食べてくれる芽郁ちゃんを見て、元気をもらって帰りました。一番大変でキツイだろうけど、それでも元気をくれるし、年下だけどとても頼りになる座長です。

-同じ幼なじみ役の佐藤さんと矢本さんはいかがですか。

 佐藤さんはクールな人だと思っていたので、初めて話すときは年上ということもあって一番緊張したけど、今は印象が変わって優しい人だなと思います。静かに引っ張ってくださって頼りになります。矢本さんは最初からイメージが全然変わらないです。とてもオープンな方で、年が近いお兄ちゃんがいたらこういう感じなのかな、楽しいだろうなと思います。

-律とブッチャーとしてでは、どちらがタイプですか。

 律は格好いいけど完璧すぎて緊張しちゃうので、ブッチャーがいいです。兄弟みたいに言い合っている方が性に合っていて楽しいし、かわいいですよね。

-そのお気に入りのブッチャーと菜生が恋愛関係に発展することもあるのでしょうか。

 くっ付くかもしれないですね(笑)。それは楽しみにしてほしいです。

(取材・文/錦怜那)