『それでも夜は明ける』(C)2013 Bass Films. LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. in the restof the World. All Ri

鬼才スティーヴ・マックィーンが新作『それでも夜は明ける』で長編デビューから3作連続でキャストにマイケル・ファスベンダーを迎えている。新作を発表し続けるたびに大きな話題を集めるマックィーン監督を、ファスベンダーをどう見ているのだろうか? 最新インタビュー映像が公開された。

『それでも夜は明ける』インタビュー動画

本作は、ニューヨークで妻と子どもと共に幸福に暮していたソロモン・ノーサップが、ふたりの白人の裏切りによって拉致され、12年もの間、“奴隷”として苦しむも、生きる希望、家族と再会したいという望みを捨てずに懸命に生き抜こうとする姿を描いた作品。キウェテル・イジョフォー主演を務めるほか、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットらが共演。本年度のゴールデン・グローブ作品賞に輝き、第86回アカデミー賞で9部門にノミネートされている。

本作がマックィーン監督と3度目のタッグとなるファスベンダーは「彼はたくさん要求する。でも同時に励まし育んでくれる。自分の直感を信じさせてくれるんだ。それは彼の過去3本の作品すべてにおいて共通してる。本当に彼は素晴らしいリーダーだ。作品に関わる皆の意欲を上げる。それはおそらく、スクリーンにも表れていると思う」と言い、『それでも…』の脚本を読み「僕は脚本の結末に感動し涙した。そしてスティーヴに電話し出演したいと伝えた。たとえそれが1日や2日の仕事でも僕はただこの物語の一部になりたかったんだ」と振り返る。

そんな彼が本作で演じるのは極めて冷酷な農場主エップスだ。奴隷にした黒人たちをムチで打ち、痛めつけ、それを“遊び”だと公言する男で、つねに高圧的で容赦ないが、何かに脅えているような表情も見せる複雑な役どころだ。ドイツ出身のファスベンダーは「撮影が始まる5週間前にニューオリンズに入った。最初にこのキャラクターの“声”を見つけるため、いろいろな作業をした」という。「方言指導のティム・モニークがルイジアナ独特のアクセントを録音したものをたくさんくれた。それに毎日脚本を読み込んだ。何度も何度もね」。

ファスベンダーは世界的な人気を得た現在も、リスクを恐れず、時間をかけて役と作品に向き合おうとしており、本作でも彼は単なる“悪役”ではなく、多面的な要素をもった農場主エップスを渾身の演技で体現している。「この映画は奴隷制度の複雑性を暴く。事実、奴隷制度の多面性については、これまで調査されていなかった。これは単純な白か黒かの問題ではないんだ。スティーヴは真に新しい領域を暴き出している。以前には描かれなかった所有者と奴隷の関係をね。もっとずっと複雑なんだ」。

『それでも夜は明ける』
3月7日(金)TOHOシネマズ みゆき座他 全国ロードショー