©2014「猫侍」製作委員会

 「可愛い!」「いまウインクしたよ!」「人間みたい!」「CGじゃないの?」などの物議を醸し出し、連続ドラマ放送中から話題に。ついに映画になったのが『猫侍』の準主役(!?)白い猫“玉之丞”だ。

主人公の浪人・斑目久太郎を演じた北村一輝との息もピッタリで、抜群のコンビネーションを披露している。

そこで猫の“玉之丞”がなぜあんなに愛くるしい表情を見せるのか?

あの名演技はどうやって演出されたのか?

『ネコナデ』(’08)、『幼獣マメシバ』(’09)、『くろねこ・ルーシー』(’12)などにも参加したZOO JAPANの動物トレーナー・北村まゆみさんに貴重な撮影秘話を訊いたので、“玉之丞”の可愛すぎる写真にほっこりしながら読んでみてほしい。

 

『猫侍』の猫は『Aflacアフラック』のCMにも出ていた"名猫俳優"

ドラマ版を観ていた人は周知の通り『猫侍』に登場する“玉之丞”は可愛い白い猫だ。だが、製作会社から「白い猫で」と言われたときに、北村さんは「目の前が真っ暗になりました」という。

「“白”は動物学的に劣性の色なんですね。だから弱いし、警戒心が強くて、隠れようとする本能がほかの猫よりも強いと思います。

それこそ、『くろねこ・ルーシー』のときの黒い猫は若かったこともあってモチベーションを上げるのも難しくなかったんですけど、今回“白猫は譲れない”と言われたときはえ~?って本当に戸惑いました。動きにバリエーションをつけるのも難しいだろうし、役者さんとの相性もすごく心配でしたね」

それに加え、“浪人+猫”という斬新な組み合わせの時代劇。ムチャ過ぎるシチュエ―ションだ。

「時代劇と猫のカップリングについてはそんなに違和感はなかったです。ただ、台本のト書き通りに猫が動くなんてあり得な~いと思いました(笑)。例えば押入れに入ることは容易にやるんですけど、自分から出てこないし、撮影するその場所に馴染むまでにはちょっと時間が必要だなと思いました」

そんなこともあって、「この子なら大丈夫。この子で行きましょう」と自信を持って製作サイドに指し出せる白猫はいなかった。

そこで「それぞれ一長一短があるんですけど」って三匹の白猫を見せたところ、監督が「じゃあ、現場にこの三匹を連れてきて」という話になり、シーンによって三匹を使い分けることになった。参加したのはあなごと大人さくら、そして若いさくらの三匹。

若いさくらはまだ演技経験はそれほどないが、ほかの二匹はともに大河ドラマ『龍馬伝』『平清盛』にも出演していて、特にあなごは『Aflacアフラック』の初期のCMでも名演技を見せていた名猫俳優だ。