携帯電話やスマートフォンの販売では、数年前からMNP(番号ポータビリティ)を利用して指定機種を購入すると、商品券や現金、現金代わりに使える販売店独自のポイントがもらえる「キャッシュバック」が常態化している。また、キャッシュバックの代わりに、端末代をその場で値引きするパターンもある。2月に入って、ドコモはMNP向けに「iPhone 5s」のキャッシュバック額を増額。KDDI(au)、ソフトバンクモバイルもこれに対抗し、いつにも増してキャッシュバック競争が過熱している。

●できるだけコストを抑えたいなら断然MNP!

ひと口に「キャッシュバック」といっても、キャリアが実施する公式なもの(オフィシャルキャンペーン)、店舗が独自に実施するもの(店舗独自キャンペーン)に分かれる。前者は条件さえ満たしていればどの店舗で購入しても適用されるが、後者は店舗次第。たとえ同じ店舗でも、日によってキャンペーンの内容や条件が変わり、高額キャッシュバックは期間限定の場合が多い。もちろん、延長されたり、いったん終了してからすぐに復活したりすることもあるが、基本的に「終了日まで」と認識しておこう。

現在、オフィシャルキャンペーンとして、ドコモは「ドコモの学割2014」「ドコモにのりかえ割」などを実施している。auは、「学割」や「auにかえる割」などのキャンペーンに加え、指定の固定通信サービスとのセット割引「auスマートバリュー」、モバイルWi-Fiルータとのセット割引「auスマートバリュー mine」を展開している。

ソフトバンクモバイルは、「ホワイト学割with家族2014」「バンバンのりかえ割」に加え、MNPを利用してスマートフォンを購入すると、端末価格から最大2万1000円割り引く「のりかえサポート」、学生と家族が同時にスマートフォンを購入すると、1台あたり最大1万500円割り引く「学生家族まるごと割」などを実施。また、紹介キャンペーンとして、紹介した人、された人の両方またはどちらかに、特典として1万2000円キャッシュバックする「ご紹介キャッシュバック」を実施している(「ホワイト学割with家族2014」とは併用不可)。さらに、2月13日~3月31日の期間限定で、キャッシュバック額を増額。最大5人まで、1人紹介するごとに紹介者に1万2000円の商品券をプレゼントし、紹介者は、通常の特典とあわせて、最大2万4000円のキャッシュバックを受けられる。

どのキャリアも、MNPの場合、最大2年間(「学割」キャンペーン適用時は3年間)、月額980円または780円の基本使用料が無料になる。キャンペーンの内容は、各社ほぼ横並びだが、もともとの基本使用料が異なるので、2年間の割引額の累計は、ソフトバンクモバイルとauは2万3520円(980円×24か月)、ドコモは1万8720円(780円×24か月)と、やや差がある。

MNPを利用すると、機種変更に比べて通信料金が安くなるうえ、端末代も安くなり、スマートフォンを利用するために必要なコスト(通信料金+端末代)を抑えることができる。これに店舗独自のキャッシュバックを加えると、トータルコストはぐっと下がる。例えば、店舗独自のキャッシュバック金額が3万円の場合、2年契約の契約解除料を支払っても、手元に約2万円が残る。契約解除料がかからない時期なら3万円のプラス。家族全員で乗り換えれば、人数分だけプラスになる金額が増え、よりおトク度が増す。

●ソフトバンクの高額キャッシュバックの実態を探る!

実際、どれくらいキャッシュバックがつくのか。一例として、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、2014年1月に月間販売台数1位を獲得したソフトバンクモバイルの「iPhone 5s」のキャッシュバックの金額を調べた。2月に調査した東京都内の家電量販店3店舗とソフトバンクショップの計4店舗のキャッシュバック額は、表の通り。店舗によって割引額や割引方法が異なり、一律ではなかった。 また、一部の店舗では、同時に購入する台数(1台・2台・3台以上)に応じて、1台あたりの割引額やキャッシュバック額を上乗せしていた。

●「学割」適用で最大8万円、家族3人なら最大24万円キャッシュバック!

MNPを利用して「iPhone 5s」を1台購入した場合のキャッシュバック額は、おおむね5万円。さらに、「学生家族まるごと割」適用時は、1台あたり約1万円相当、キャッシュバック額が増える。2月の時点で、ショップAでは、「MNPなら最大8万円キャッシュバック」とうたっており、詳細を店員にたずねると、同時購入台数に応じて増える店舗独自のキャッシュバック(3~5万円)と、オフィシャルキャンペーンの「のりかえサポート」、「学生家族まるごと割」による割引をすべてあわせて最大8万円という意味だという。例えば、学生を含む家族3人が同時に3台購入した場合、最大8万円×3人で、キャッシュバックは総額24万円となる。

なお、店舗独自のキャッシュバックや端末代の値引きには、条件がある場合が多いので注意しよう。各キャリアとも、学生をフックに、キャッシュバックや基本使用料3年間無料といった費用面の「安さ」を押し出し、「家族全員で乗り換え」をうながそうとしている。できるだけおトクにスマートフォンを手に入れたいなら、条件に注意しつつ、MNPの場合だけ利用できる、さまざまなキャンペーン・キャッシュバックを活用しよう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

※本記事で紹介したキャンペーン内容・料金などは、2014年3月4日時点のものです。最新情報は、各キャリアのウェブサイトでご確認ください。

※通信料金はすべて消費税5%時の税込金額です。