石坂勇 石坂勇

3月、博品館劇場にてTOKYO七福神GEKIJO Speedy Shocking Surprised Live『SHUNPU Gaiden~春風外伝~』が上演される。稽古場にて今作に出演する石坂勇、愛原実花に話を訊いた。

「SHUNPU Gaiden ~春風外伝~」チケット情報

江戸時代、徳川吉宗の治世で娯楽が禁じられ殺伐とした江戸に対し、徳川宗春が治める尾張の国は規制などどこ吹く風。ついに吉宗と宗春が対峙したとき、この国はいったいどうなるのか――。『SHUNPU Gaiden』は笑いをふんだんに取り入れた会話の応酬でスピーディに進んでいく物語に、歌やダンス、タップが絡むエンターテインメントな舞台。キャストもTHE CONVOYのメンバーである石坂、元宝塚のトップ女優であった愛原のほか、声優としての活躍もめざましい津田英佑、ミュージシャンでもある蒼井翔太など、バラエティに富んだ顔ぶれが集結した。

はじまってわずか1週間足らずにも関わらず、この日の稽古は終盤のクライマックスシーンに到達。演出の米山和仁は自らが動きまわり、役者一人ひとりの動きをどんどん決めてゆく。「僕はちょっと遅れて稽古に入ったので、いまは振り回されている状態」と笑う石坂。そして「米山さんは一度脚本をつくったらそれで終わりではなくて、崩してはまたつくっていくタイプだとおっしゃっていました。そのとおり、毎日差し替えがあって必死。でも実際の稽古で知ったキャストの良さをセリフに活かしてくださったりするんです」と愛原は語った。

これでもかとばかりにエンターテイメントの要素が詰め込まれたこの作品は、舞台美術も凝ったもの。段差のあるステージをキャストが縦横無尽に駆け回る。「私は花魁の役なので、実際にはお引きずりの衣装を着る予定なんです。このステージでちゃんとした立居振舞ができるか、大きなチャレンジです。『真っ平らな世の中をでこぼこにしよう』というセリフがあるんですが、出演者も美術もでこぼこしているのが魅力だと思います」と話す愛原。「誰もがきっと楽しいだけではないことがあるからこそ笑ってられると思うんです。その笑っている目の奥にある本質を見せることができたら、観る方の感情の琴線に触れられるような芝居になるんじゃないかな。初日まで戦い続ける作品になりそうです」と石坂が決意を語ると、愛原が「春の風を感じられるような、にぎやかな作品にできたら」と付け加えた。

公演は3月20日(木)から23日(日)まで。チケット発売中。

取材・文:釣木文恵