イベントの模様

オーディション番組で一夜にしてケータイ販売員から世界的オペラ歌手への成功の切符を掴みとったポール・ポッツの半生を映画化した『ワン チャンス』の公開を前に、ポール・ポッツ本人が来日。12日に都内で行なわれたイベントで、その魅惑の歌声を披露した。

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『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケル監督による本作。デブで歯並びの悪いイジメられっこの少年時代、大人になってもサエないケータイ販売員として暮らしていたポッツがいかに成功の階段を駆け上ることになったのか? その半生を歌と共に描き出す。

「コンバンハ、アリガトウ」と覚えたての日本語であいさつするポッツ。本作で歌のパートで声の出演について喜びながらも「いまだに映画ができたということが不思議です。普通は死んでから映画化するものですよね(笑)?」とちょっぴり恥ずかしそうに語る。出来上がった映画については「僕も観ながら笑い、温かい気持ちになりました」とうれしそうに語り「人生はいろんなことが起きるけど、周りの人々のサポートを受けながら、前へ進み続けることが大事」と映画が描き出すメッセージを呼びかけた。

この日は、ゲストとしてトリノ五輪フィギュアスケート金メダリストの荒川静香が来場し、ポッツとフランケル監督に花束を手渡した。水色のドレス姿で来場した荒川は、ポッツがオーディションで披露し、成功を掴んだ楽曲「誰も寝てはならぬ」と自身との特別なつながりを告白。「2004年シーズンの世界選手権で初めて世界チャンピオンになった時、そしてトリノ五輪(金メダル獲得)と2度にわたって私の運命を変えてくれた曲です」と同曲への強い思いを語る。特に世界選手権時は「当時は選手生命も短くて、私自身も競技生活からの引退を考えてました。最後と思っていた世界選手権でチャンピオンになることができ、この曲が私の選手生命を伸ばしてくれました」と語り「うれしい縁を感じています」と微笑んだ。

ポッツはその「誰も寝てはならぬ」を満員の観客の前で歌い上げ、その力強い歌声に楽曲が終わる前から客席から熱烈な拍手と歓声がわき起こった。さらに、本作のミュージックアンバサダーを務めるポップオペラ界の貴公子・藤澤ノリマサも来場。ポッツは藤澤とのデュエットに応じ「ムーンリバー」を披露し、荒川も観客も、そして歌った藤澤自身もコラボレーション実現に感激の面持ちだった。

『ワン チャンス』
3月21日(金・祝) TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー