『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』 Photo by Alison Rosa (C)2012 Long Strange Trip LLC

カンヌ映画祭でグランプリに輝いたジョエル&イーサン・コーエン監督の最新作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』の予告編映像が公開になった。タイトル通り、名もなきシンガーの1週間を通して、ひとりの男の哀愁と運命、そして“音楽のひとつの時代が切り替わる瞬間”を描き出す作品だ。

予告編映像

新作を発表する度に世界中の評論家、映画ファンから絶賛を集めるコーエン監督が最新作の主人公に据えたのは“ルーウィン・デイヴィス”という冴えない男だ。彼は1961年のニューヨークでシンガーをしているが、レコードは売れず、やることはすべて裏目に出てしまい、手を出した女友達から妊娠したと告げられる。映画はトラブル続きの彼が自らを売り込むためにシカゴのライブハウスへと向かう旅を描く。

本作の主人公にはモデルが存在する。それは後に「彼なしにはボブ・ディランの成功はなかった」と言われた伝説のシンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクで、ディランはロンクに憧れていたという。本作はロンクの回顧録をベースにコーエン監督が当時のミュージシャンの逸話を盛り込んで脚本を執筆。後に音楽シーンを変えることになる新しい波の萌芽と、ある時代に出会い、すれ違っていった者たちのドラマが描かれる。

このほど公開された予告編には、愛らしい猫とギターを抱えてニューヨークの街をゆくデイヴィスの姿が映し出され、コーエン監督らしいクセのあるキャラクターと軽妙な会話が、独特の色味の美しい映像で描かれる。オスカー・アイザック、キャリー・ マリガン、ジョン・グッドマン、ジャスティン・ティンバーレイクら豪華キャストが集結しており、海外では彼らはもちろん、猫のユリシーズの演技(?)にも絶賛が寄せられているという。

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』
5月、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国公開