マーク・ウォールバーグを主演に迎えて2005年にアフガニスタンで起こった実話を映画化した『ローン・サバイバー』が21日(金・祝)から公開される。過酷な戦場からたったひとり生還した男の証言を基にした作品で、ピーター・バーグ監督らスタッフは徹底的なリサーチを行ってスクリーンに“戦場そのもの”を作り出すことにこだわったという。
本作の舞台は2005年のアフガニスタン。ネイビーシールズの4人はアフガニスタンの山岳地帯で、ビン・ラディンの側近を殺害する“レッド・ウィング作戦”に参加するが、あるトラブルに巻き込まれ、200人超のタリバン兵に包囲されてしまう。最終的に生還したのはたったひとりの兵士。なぜ彼は生き残ることができたのか? 仲間たちはどのようにして戦場で命を落としたのか? 映画は生還したマーカス・ラトレルの著作と証言を基に製作された。
これまで数々の史実を基にした戦争映画が作られてきたが、本作でもバーグ監督らスタッフがラトレルの証言や記憶を徹底的に掘り下げた。そのこだわりは映像だけでなく“音響”にも及んでいる。近年、映画音響は多チャンネルとデジタル化が進み、四方から様々な音を鳴らすことが可能になったが、本作で音響編集を担当したウィリー・ステイトマンは「衝撃音や反響音で観客により臨場感を味わってもらえるように作った」と語る。「彼らが崖から落ちる際、うめき声などを使いたくなかった。だから観客には肉や骨が岩にぶるかる音だけが聞こえるようにして、銃撃音よりむしろその音を連続させて構成したんだ。リアルな音を出すため時には、役者の背中に小さなマイクを入れて体を岩に打ちつける演技をしてもらった」とそのこだわりは徹底している。
銃声や爆発音だけでなく、弾丸が空気を切り裂く音、落下時に装備が揺れてきしむ音、身体がぶつかる衝撃音など細やかにミックスされた音響によってスクリーン内に“戦場”が出現する本作の演出は高い評価を集めており、従軍取材の経験のある報道カメラマンの横田徹氏は「シールズとタリバンの怒濤の銃撃シーンは、私が現地での両者の戦闘中に実際に耳で聞き、肌で感じた音と同じものだった」と語っている。
『ローン・サバイバー』
3月21日(金・祝) TOHOシネマズ 日本橋ほか全国ロードショー