高橋秀人(FC東京) (c)J.LEAGUE PHOTOS 高橋秀人(FC東京) (c)J.LEAGUE PHOTOS

FC東京にしても、川崎フロンターレにしても、多摩川クラシコを浮上のキッカケにしたいことだろう。

3/23(日)FC東京対川崎フロンターレ J1リーグ戦 チケット情報

F東京は2分1敗、川崎Fは1分2敗と、ともにリーグ戦で勝利がない。F東京は3月19日『ナビスコカップ』初戦で、リーグ戦3勝9得点無失点のメンバー10人を揃えた鹿島アントラーズに対し、先発8人を入れ替えながら、3-1で勝利した。一方の川崎Fは『ACL』初戦・貴州人和(中国)戦こそ勝利したものの、3月12日・蔚山現代(韓国)、19日・ウェスタン・シドニー(豪州)に連敗を喫した。リーグ戦開幕6試合も勝ち点3から見離された昨季と同様に、苦しい立ち上がりとなっている。

ただ、試合内容を見れば、両クラブとも悲観する必要はない。だからこそ、多摩川クラシコが重要な意味を持ってくる。

F東京はマッシモ・フィッカデンティ新監督のもと、従来のパスサッカーから脱却しつつある。前線から激しくプレスをかけることもあれば、引いて守ることも辞さない。守から攻の切り替えもスピーディになった。パスを必要以上につながず、効果的に一気に縦パスを放る。新助っ人のエドゥーにボールが納まれば、武藤嘉紀、渡邉千真のウイング、三田啓貴、東慶悟の2列目が動き出し、連動した攻撃を展開する。このカウンターを支えているのが、アンカーの高橋秀人だ。日本代表MFは、中盤の底で相手のパスを寸断する。守から攻のスイッチャーの役割を果たしているのだ。

川崎Fはパスサッカーを貫く。トップ下に入れば、ラストパスを送るとともに自らシュートも放つ中村憲剛は、第3節・大宮アルディージャ戦では中盤の底から縦パスやショートパスの交換など、攻撃にアクセントをつけた。得点王・大久保嘉人、左・レナト、右・小林悠のアタッカー陣が揃ってゴールを決めている。洗練されたコンビネーション、最後の個の力はリーグでも随一のものがあるが、失点が多すぎる。リーグ2位タイの6得点ながら、リーグ17位の8失点である。それでも川崎Fはパスとポゼッションにこだわる。この姿勢こそ、さらなる成長を呼び起こすと信じているのだ。

多摩川を挟んだ両軍の対決は、リーグ戦の1試合ではくくれない。多摩川クラシコと銘打った2007年当初はプロモーションの色合いが濃かったが、対戦を重ねるごとに、他のダービーにはない独自の色が出てきた。負けられない一戦にありがちなカタイ試合にはならず、乱打戦、一方的な大勝劇も少なくない。F東京×川崎Fの多摩川クラシコは、3月23日(日)・味の素スタジアムでキックオフ。チケット発売中。