『失われた海』

大小あわせるといくつもの映画祭が存在する現在の日本。その中で今春、また新たな試みに挑む映像祭が産声を上げる。<グリーンイメージ国際環境映像祭>は、“環境”をテーマに掲げた映像祭。「世界から集まった映像作品を通して、地球環境について、そしていのちについて考えを深める場にしていきたい」と小泉修吉実行委員長は語る。

「初の開催。(応募があるのか)不安がありました(笑)」という小泉委員長の心配は杞憂に終わり、27の国と地域から103作品も寄せられた。選考作品は、台中の友好により皮肉にも破壊されていくカブトガニの生息域を見つめた『失われた海』、古代より防虫剤・香料として用いられてきた樟脳作りの伝統を守る女性の物語『クスノキからの贈り物-香りの宝石・樟脳を守る』、食の安全について大人も子供も考えさせられる短編アニメ『農民ジャック』など、社会的メッセージの強い作品から子供も楽しめるアニメまで並ぶ。「CO2削減や地球温暖化といった大きな環境問題について考えることももちろん重要。ただ、我々の日々の生活もまた環境と深く結びついている。地球規模の環境問題を知るとともに、もっと身近な、例えば自分のライフスタイルについて考えることもできる内容のラインナップになったと思います」。

一見つながりがないように思える地域コミュニティの在り方についての作品もなかにはある。「その土地、その土地に様々な食文化や暮らしの営みがある。また、おばあちゃんの知恵袋ではないですが、先人たちのちょっとした暮らしの知恵に教えられることは多い。ここに目を向けることも広い意味で環境につながるのではないでしょうか」。

また、特別プログラムではユニークなゲストを数多く招くそうだ。「開催に至るまでの間で、実は幸運にも環境と結びつきの深い方との出会いが重なりまして。アウトドアについて詳しいモンベルの竹山史朗氏、野外教育に力を注がれている佐々木豊志氏、自転車冒険家の西川昌徳氏、都内で森作りの活動をする早野祐樹氏、エネルギーの地産地消活動に取り組む古川正司氏など、皆さん、ユニークな経歴を持った個性的な方々。難しい講義というのではなく、課外授業のような楽しいお話がきけると思います」。さらにこの開催をきっかけに、映像祭にとどまらず各地の自然学校とのコラボイベント開催なども視野に入れていきたいという。

なお、中学生以下は参加費無料。親子で気軽に訪れてみてはいかがだろうか?

「グリーンイメージ国際環境映像祭」
3月20日(木)~22日(土)まで日比谷図書文化館コンベンションホールにて開催
参加・協力費:1日1500円/中学生以下無料

取材・文:水上賢治