ディズニー・アニメーション・スタジオのエグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるアンドリュー・ミルスタイン

現在公開中のディズニー・アニメーション『アナと雪の女王』が日本でも大ヒットを記録している。本作は、ディズニーの“伝統”と時代の変化に対応しようとする“挑戦”のバランスが一体となることで大きな成功を引き寄せた。本プロジェクトを統括しているのが、ディズニー・アニメーション・スタジオのエグゼクティブ・バイス・プレジデントのアンドリュー・ミルスタインだ。

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多くのハリウッドスタジオの重役は「いかに効率良く金を稼ぐ映画を生み出すか?」を考えている。しかし、ミルスタインは「観客をバカにするような映画作りは絶対にしてはいけない」と力説する。「観客に敬意を表して映画作りをするように心がけています。映画は観客と“対話”するものですからね。だから、観る方がそれぞれに解釈できるような作品づくりを心がけています。観た人それぞれが自由に解釈できるのが優れたアートの醍醐味ですから」。

彼の哲学は『アナと雪の女王』にも貫かれている。本作は公開前からネットなどで予告編や映像を観たファンの声が多くあがり、公開後には本作について熱く語る観客がたくさん現れた。「とても優れた“映画体験”ができる作品であったことが一番大きいと思いますし、次にどうなるのか予想がつかない“ひねり”が効いたストーリーが多くの人を惹きつけ、誰かと語り合いたくさせているのだと思います。美しい映像や、キャラクターに感情移入できたことも大事なポイントでしょう」。

またミルスタインは、ウォルト・ディズニーが生きていた頃の技術や想いを現代に受け継ぎ、未来のクリエーターや観客に手渡すことも続けていきたいという。「これからは手描きアニメについて学んでいない若いアニメーターも増えていくでしょう。しかし、手描きアニメには独特の表現力がありますし、CGとはまったく違ったキャラクター表現や効果を出すことができます。手描きアニメの表現をいかにして最新のCGで描きだすかということが私たちの課題であり、私たちの作り出すアニメーションの最大の魅力だと思っています。現在は優れた手描きアニメーターと若いCG作家がタッグを組んでいますが、これからは若い人たちに手描きアニメの技術や伝統、魅力を教えながら、それらを守っていくことが重要だと思っています」。

現在では多くのアニメーション・スタジオが手描きアニメの部門を廃止している。しかし、紙の上に描かれたキャラクターに“生命”を吹き込むことに魅了されたウォルト・ディズニーの想いは、形を変えながら『アナと雪の女王』や他のディズニー作品に受け継がれている。これからも彼らが“伝統”を守りながら“挑戦”を続ける限り、多くの名作が私たちのもとに届けられるのではないだろうか。

『アナと雪の女王』
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