アンドリュー・ロイド=ウェバー アンドリュー・ロイド=ウェバー

現在、大ヒット上演中のミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』。作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが、作品について語ってくれた。

日本公演を「とても良いプロダクションですね。これはオーストラリア版ですが、以前私が観た時よりもさらに練り上げられています。日生劇場の雰囲気とも合っていて、満足です」と高く評価したロイド=ウェバー。

本作は、1986年以来世界中で上演されている『オペラ座の怪人』の続編として、2010年に初演された。改めて、創作理由をこう話す。「長らく続編を作る理由を見つけられずにいたのですが、コニーアイランドを舞台にするというアイデアが決め手になりました。コニーアイランドの遊園地は、オペラハウスと同じようにファンタジックだし、見世物小屋があってファントムには操りやすい世界。しかももはや存在しない場所です。ここにクリスティーヌが登場し、ファントムと再び出会うというのが、気に入ったのです」。

この作品でのファントムは、等身大の恋する男性といった雰囲気。『オペラ座の怪人』との違いに驚く人もいるのではないだろうか。「『オペラ座の怪人』でクリスティーヌからキスをされた時、ファントムは人生で初めて愛に触れました。それは彼にとってとてつもない体験だったのです。『ラブ・ネバー・ダイ』のファントムにとって、クリスティーヌは相変わらず、人生のすべて。しかし、クリスティーヌの人生は進んでいて、大人の女性になり、子供がいる。そんなふたりの再会を描くのは、作曲家としてエイキサイティングでしたね」。

公演プログラムで本作を「私的な思いが強い作品」と述べているロイド=ウェバー。彼が共感するのはファントムではなくクリスティーヌだそうだが、「もちろん、ファントムの愛が音楽に端を発している点には、どんな作曲家も共感するでしょう」と微笑んだ。 

その音楽の源泉を訊ねると「常に物語です。私は演劇的な作曲家。物語さえグッと来れば、作曲はたやすい作業なのですが、書きたいと思う物語をみつけるのが難しい」とのこと。『ウーマン・イン・ホワイト』の物語と音楽の補筆を考えていることも明かしてくれた。

初来日は1971年。以来、彼の作品は日本で非常に愛され続けている。「俳優のレベルが高く、観客の皆さんも教養がある日本は、イギリス、アメリカと並ぶミュージカル大国。これは私ひとりの考えではなく、一般的に言われていることです。43年もの間、私の作品を受け入れていただいて光栄ですし、こちらで仕事をするのはとても楽しいです」。

公演は4月27日(日)まで東京・日生劇場にて。

取材・文:高橋彩子