左から、浦井健治、内野聖陽、成河 左から、浦井健治、内野聖陽、成河

内野聖陽が主演する舞台『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』の制作発表が3月25日、都内にて行われた。IRA(アイルランド共和軍)の後方支援部隊であるNY支部のメンバーたちの30年間を描く翻訳劇。演出は第21回読売演劇大賞で大賞・最優秀演出家賞、2013年度芸術選奨で文部科学大臣新人賞を立て続けに受賞、今演劇界で最も注目される森新太郎が手掛ける。

『ビッグ・フェラー』チケット情報

作品はイギリスの人気劇作家、リチャード・ビーンによる戯曲で、日本で上演されるのはこれが初。特殊な使命を帯びた男たちの姿を喜劇的なタッチで描きつつも、その背景にある激動の現代史を、さらには負の連鎖の虚しさを浮かび上がらせていく。NY支部のカリスマ的リーダー、コステロを演じる内野は「自分もこのお話を頂いた時は、IRAという言葉は知っていても彼らが何をしているかなどはサッパリわからなかった。でも読んでいくと“男と戦い”“男と組織”“男と時代”といったことを考えさせられる骨太な話。さらに冷戦時代からそれが崩壊していくあたり、一番世界史が動いた時代を背景にしていて話が非常に壮大。どこから飛び越えていいのかわからないくらいにハードルがあるが、これはきっと面白くなる」と、すでに作品に惚れ込んでいる様子。共演する浦井健治も「テロ組織の物語ですが、普遍的なもの、人間の欲だとか思いだとか信念だとかをいろいろ考えさせられる作品」、成河も「日常的なドライでポップな会話と、組織ならではの腹の探りあいみたいなものがずっと同時に流れていく。シチュエーションコメディ的に書かれているところもあるし、多分(IRAのことなどを)何も知らない方が見ても楽しめると思う」と見どころを話した。

演出の森は「僕にとってはドリームチーム。素晴らしい実力派の俳優ばかりで、今まで客席から一緒に仕事をしたいなと思って見ていた人がこれだけ揃ってしまった。嬉しい反面、失敗したら俺(の演出)だけのせいにになると恐ろしく思っています」とユーモアを交えつつキャストの顔ぶれに自信を見せ、「アイルランドのことだけでなく、背景の東西冷戦など、世界史をごっそりと勉強しないとこの芝居ができないということに気付きました(苦笑)。内野さんをはじめとても勉強好きの方ばかりで、かつてないくらい勉強会を何度も開いています。個人の力ではいかんともしがたい巨大な歴史のうねりが描かれている作品なので、演出家としてそこをみなさんにちゃんとご提供できれば」と意気込みを語っていた。

出演はほかに明星真由美、町田マリー、黒田大輔、小林勝也。公演は5月20日(火)から6月8日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて。チケットは発売中。その後兵庫、新潟、愛知、滋賀でも上演される。