緒方明監督の新作は日本映画の底力を感じさせる快作

2014.4.2 15:3配信
緒方明監督

『のんちゃんのり弁』『死刑台のエレベーター』に続いて緒方明監督から届いた長編『友だちと歩こう』は、現在の日本映画界の底力が感じられる1作といっていいかもしれない。というのも、今の日本映画のいい面も悪い面も逆手にとって現状を打破しようとすべきスタッフとキャストの気概が映画の力として結実しているのだ。

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まず、本作は緒方監督とのタッグで『独立少年合唱団』『いつか読書する日』という国内外で高い評価を受けた傑作を生み出している青木研次の脚本。しかも書き下ろしのオリジナルである。音楽はアコーディオニストとして国際的に活躍するcobaが担当。ただ、驚くことに自主製作映画なのである。

その経緯を緒方監督はこう明かす。「温めていた企画が流れることが続いて。もう、埒があかない。だったら自分で動こうと(笑)。幸いにも、これまで映画学校で教えてきた生徒たちがプロとして現場で活躍し始めて、彼らが手をかしてくれるという。それで青木さんに脚本を“いくらか制作費も出して”というお願いも加えた形で打診したら、快く(?)応じてくれて(笑)。こういう仲間の後押しがいろいろとあって出来ていった作品です」。

作品は4話仕立て。郊外の団地に暮す体の不自由な老人、富男と国雄、現実をみることができない30代のトガシとモウリという男たちの日常に起きるちょっとした事件から、人間の理不尽さや人生の悲喜こもごもといったことが見えてくる。「過去2作もバランスは違うんですけど、青木さんの今の日本社会に対する鋭い目線とでもいっていい作家性と、もともとアクションや活劇が好きな僕の映画愛であり趣向がそれぞれ出ていて。自主だから発想も自由で何かに束縛されることもない。結果的に、独自性のある作品になった気がしています」。

また、集まったキャストは現在の日本映画界で欠かせない役者ばかり。彼らの演技が映画に大きな力を与えていることは間違いない。「上田(耕一)さん、高橋(長英)さん、斉藤(陽一郎)くん、松尾(諭)くん、山田(キヌヲ)さんら、今回集まってくれたメンバーは名バイプレイヤーとして知られてますけど、僕は全員メインも張れる役者だと思っていて。1度、そういう役者のオールスターキャストでやってみたいと思っていたんですよ。ひとつの目標が今回達成できました」。

緒方監督、いや緒方組が敢えて“自主”の道を選んで自由に作り上げた意欲作に注目したい。

『友だちと歩こう』
公開中
※ヒューマントラストシネマ渋谷にて4月12~18日レイトショー

取材・文・写真:水上賢治

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