「2020年代に向けた情報通信政策のあり方に関する検討として、NTTグループの規制緩和を問題点に挙げた

KDDIとソフトバンクモバイル、イー・アクセスは、4月2日、共同記者会見を開き、総務省が検討しているNTTグループのグループ規制緩和に反対する声明を発表した。

複数メディアが「規制緩和によって、NTTグループの固定回線とNTT docomoの携帯電話回線を両社契約していれば、料金を割引きする『セット割』などのサービスが解禁される」と報道したことを受けて、会見を開いた大手通信業者3社を含む65事業者・団体が、反対意志を示す連名要望書を総務大臣に提出。「2020年代に向けた情報通信政策の在り方――世界最高レベルの情報通信基盤のさらなる普及・発展に向けて――」の標題で、規制緩和が情報通信の多様性・利便性の成長を妨げる可能性があると訴えた。

会見では、KDDI渉外・コミュニケーション統括本部の藤田元渉外・広報本部長が要望書の概要を説明。「NTTグループの支配力は依然として大きい。それにもかかわらず、規制緩和の議論が進められていることは極めて問題だ」と危機感を示し、「NTTグループの実質的な再統合・独占回帰は公正競争確保を困難にする。サービスの成長が阻害されれば、国民の利便性にも悪影響を与える」と具体的な問題点を挙げた。

ソフトバンクモバイル渉外本部の徳永順二部長によると、NTTグループの現在の市場シェアは音声で76%、家庭向けデータサービスで72%、法人向けデータサービスで62%、携帯電話で45%と各分野で大きく、規制緩和でグループ内の連携が進めば、キャリア事業者だけでなく、NTTグループに属さないMVNO(仮想移動体通信事業者)やCATV、ISP(インターネットサービスプロバイダ)事業者なども市場から閉め出される可能性があるという。

今回の連名要望書の提出は、「これまでの政策の包括的な検証を十分に実施したうえで、必要な措置を講じてほしい」という意思表示で、最終的な情報通信政策のあり方については今後の話し合いで方向を定める予定だ。