大きな実はそのまま食べてももちろん美味しい!

【拝啓、徳島より・25】冬の間にお隣さんの庭先でたわわに実った伊予柑を大量にいただいたので、ジャム作りにチャレンジしました。太陽をたっぷり浴びながら、自然に、自由に育った伊予柑は、市販のものより味が濃くてとっても甘い!育ちがワイルドなのでタネが多くて少し大変でしたが、そのちょっとした苦労も含めて田舎らしさを存分に楽しめる贅沢な時間でした。できたジャムは少し苦味のある大人のマーマレードで、パンにつけてもお茶にしても美味しかったです。

柑橘系の木々が至る所にある田舎町の風景

「田舎に引っ越してよかったな」と思う瞬間はたくさんありますが、都会との違いを何よりも感じるのは、日々のお裾分け文化です。移住してから今日まで、採れたての野菜や魚のほか、お皿などの日用品などなど、たくさんのものをいただいてきました。

今回、お裾分けいただいた伊予柑は、お隣の庭先に生えている大きな木からとったもの。木が折れるのでは・・・と思うほど実がたくさんなっていて、お隣さんの前を通るとほんのり柑橘のいい匂いがしていました。

私が暮らす徳島県南部の小さな港町では、家の庭や畑に柑橘系の木が生えていることが多く、伊予柑のほかにもポンカンや金柑の木など、その種類は様々。実った果実を採りに、山から降りてきた猿と鉢合わせすることもしばしばです。

移住してきたばかりの頃、仕事中に上司と、知り合いの庭に立ち寄って金柑の実をしこたま収穫してから打ち合わせに望んだこともありました(もちろん許可は取りました)。クライアントの手土産にと、ビニール袋いっぱいに金柑を詰めながら、「これが田舎で働くということなんだなぁ」としみじみ思ったことを今でも覚えています。

お裾分けの伊予柑でジャム作り!

日々の暮らしにちょっとした彩りを加えてくれる道端の柑橘類たち。お裾分けいただいた実は、まるまると大きく、熟して果汁もたっぷりでした。ジャム作りの材料はシンプルに伊予柑と砂糖だけ。

【ジャム作りの材料】

・伊予柑:5つ

・砂糖:材料の40~60%の量

まずは表面をしっかりと洗って、包丁で十字に切り込みを入れてから皮を剥いていきます。皮の内側の白い部分が多いと苦味が強くなるので、できる限りスプーンなどでこそげとっておくのがおすすめです。

皮の処理が終わったら、次は実と薄皮、種を分けていきます。この作業が地味に大変でした。お隣の庭で自由に育った伊予柑はタネがとてつもなく多く、大きさもバラバラ。完熟を過ぎた実は果汁たっぷりで崩れやすく、小さな種をとるのにとっても苦労しました。ジャム作りは熟し過ぎる前に行うのがいいみたいです。

それぞれの下処理が終わったら、次に皮を軽く茹でます。沸騰してから5分ほど煮る→湯を捨てる→水を入れる→沸騰してから5分ほど煮る、と2回繰り返し煮てから水に晒して冷却。その後、ある程度、冷めたら皮を刻んでいきます。

皮を刻み終わったら、大きめの鍋に皮と果汁と一緒に実を入れて、砂糖を何回かに分けて加えながら煮込んでいきます。砂糖は皮と果汁と実の重さの40~60%程度。味を見ながら調整していきます。分けておいた種は、出汁袋などに入れて一緒に煮込むととろみが出やすいんだとか。

ぐつぐつ煮込んでいくと徐々に色が変わってきました。ほんのりと甘酸っぱい香りが台所に漂います。この段階までくると、さっきまで種取りに四苦八苦していたことも忘れて、ジャム作りが楽しくてたまらない状態に。ワクワクで鍋をかき混ぜる手が止まりません。(混ぜ過ぎは注意です)

全体的にとろみが出てきたら完成。自分一人でここまでできた達成感に自然と笑みが溢れます。

「とろみが出てきたら・・・」の加減が難しいのですが、煮詰め過ぎると固くなり過ぎてしまうので、水っぽさがなくなって、ちょっとゆるいかな?と思うくらいで火を止めるとベスト。完成したジャムは暑いうちに煮沸消毒した瓶の中へ詰めていきます。今回は大小三つのジャム瓶ができました。

お裾分けのお礼はやっぱりお裾分け

ジャムの味は、ちょっとビターな大人のマーマレードといった感じ。甘さと苦味のバランスがよく、パンにつけてもよし、焼き菓子に使ってもよし、これからいろいろな場面で活躍してくれること間違いなしです。

また、カップにジャムを入れてお湯を注げば簡単マーマレードティに。少し酸味が効いたホッとする味わいで、風邪気味の時や元気が出ない夜なんかにピッタリかもしれません。

完成したジャムは、3瓶のうち一つは我が家用に、一つは伊予柑をくれたお隣さんに、そしてもう一つはいつも野菜をたくさんくれる大家さんにお裾分け。普段、もらってばかりの暮らしなので、少しでもお返しができることがジャムを作れたこと以上に嬉しく感じました。

しかし、「今日こそはこちらがお裾分けをする番!」と意気込んでいたのですが、大家さんにジャムを渡したら、「お礼にこれ持っていって」と、玉ねぎとセロリをいただいてしまいました。

結局いつも通り、こちらがいただく側に。「お裾分けの連鎖」が全く途切れないところが、この町のいいところだなと再確認。また近いうちに、お裾分け返しができる機会を作れたらなと改めて思ったのでした。(フリーライター・甲斐イアン)

甲斐イアン

徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。