(左から)高月彩良、有村架純

スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』(米林宏昌監督)が主人公に“Wヒロイン”を迎え、女優の高月彩良と有村架純が声優に初挑戦することがわかった。高月が内気な少女・杏奈を、有村が不思議な屋敷に暮らす金髪の少女・マーニーを演じる。『かぐや姫の物語』で手腕を振るった西村義明プロデューサーは「高畑勲も宮崎駿もまったく関わっていない、初めてのジブリ作品。そしてふたりには作れない作品」とジブリ新時代の幕開けを告げる本作をアピールした。

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英国の作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を基に、海辺の村で暮す老夫婦にあずけられた少女・杏奈が、不思議な少女マーニーとの交流を重ねて、ある秘密を分かち合う姿を描く。米林監督にとっては、2010年に公開された『借りぐらしのアリエッティ』以来、2本目のメガホン。舞台はイギリスから、日本の北海道に移されている。

4月14日、都内で行われた会見に出席した西村氏は、「ある日突然、麻呂さん(米林監督の愛称)が『僕に映画を作らせてほしい。アリエッティでやり残したことがある』と言い出した」と米林監督がメガホンを執るに至った経緯を説明。『思い出のマーニー』が選ばれた理由は、「原作は宮崎さんが大好きで、鈴木さん(鈴木敏夫プロデューサー)が本棚にあった原作を麻呂さんに手渡した」と明かした。

原作に基づきWヒロインを据えることに「この映画には、ほとんど女性しか出てこない」といい、現在大ヒット中の『アナと雪の女王』を引き合いに「男性が女性を救えないことがハッキリした時代を反映している」と持論を展開。ヒロインの杏奈について「ジブリ史上、一番不器用でまっすぐな女の子。一生懸命な人が生きづらい現代を生きる日本人の姿でもある」と語った。

また、ジブリ作品では毎回注目が集まる主題歌は、L.A.を拠点に活動を続けるシンガーソングライター、プリシラ・アーンの「Fine On The Outside」に決定。すべて英語詞の楽曲が、主題歌に起用されるのはジブリ史上初めてとなる。

「もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい」。4月26日(土)から劇場で配布されるチラシには、米林監督が本作にこめた熱い思いが「企画意図」という長文のメッセージで記されているので、ぜひ手にしてみては?

『思い出のマーニー』
7月19日(土)から全国ロードショー

取材・文:内田 涼