親子それぞれの成長を描いた細田守監督のアニメーション映画『おおかみこどもの雨と雪』。地上波でオンエアされた際、おもに子育て中ママたちのTwitterのタイムランには、本筋とは異なるツイートが流れていた。

「母親の花ってさ、姉の雪のことは放ったらかしで、弟の雨ばかりをかわいがっていない?」
親だからこそ、女だからこそ直感的に気づいた違和感。「息子は小さな恋人」「女親は娘よりも息子をかわいがる」といった俗説が頭をよぎる。

映画の話はさておき、実際のところはどうなのだろうか?
教育評論家で男女別学教育に30年携わってきた教育評論家の中井俊已先生に伺った。

 

男の子の方が手がかかる

「愛情に差があるように見えるのは、一般的に男の子の方が、手がかかるため。母親にとって、小さな息子は宇宙人のように理解しがたい存在なのです」

筆者にも息子がいるのだが、男の子を持つママの日常は、笑いと嘆きが隣り合わせにある。周囲にリサーチしただけでも、

「ちくわをストローにして、おでんの汁をすすっていた」(小3男児の母)
「傘を持たせているのに、いつもずぶ濡れで帰って来る」(小5男児の母)
「学校の手紙を持って帰ってきたが、1年前のものだった」(小5男児の母)
「担任の先生の名前を知らなかった!」(年中男児の母)

など、アンビリバボーなエピソードがつらつら。そうか、あの子たちは宇宙人だったのか。それならしかたないや、あはは(泣笑い)。

「男の子の特徴として、“動くのが好き”“スリルが好き”“汚いことを気にしない” “ときどきボーっとしている” “強いもの、一番が好き”“荒っぽいことが好き”“片づけたがらない”などが挙げられます。何かをしたいと思ったら、後先考えずに動き出すし、けんかをすると口よりも手がでやすいです。
その点、女の子は比較的、親のいいつけはよく守るし行儀がいい。感じ方や行動も似ているので、母親が理解しやすいことも多いでしょう」

 

女の子は大切にされたい。

脳の仕組みから、女の子は男の子よりも共感力が高いといわれている。娘は親のことをよく見ていて、ときおり「お母さんは考えていることが顔に出るタイプだね」などと、大人びた指摘をしてくることもある。

母親は、娘と以心伝心であるような気がして、愛情を言葉や態度で示すことを怠りがちになるのもしれない。

「そうとはいえ、子どもは子ども。女の子は特別に愛されたい、大切にされたいという気持ちを持っています。母親が兄や弟ばかりを見ていると寂しく感じるでしょう。その気持ちを汲んで、抱きしめたり、話を聞いてあげたり、特別に絵本を読み聞かせてあげたりしてください。女の子の気持ちを尊重することは、その子が明るく健やかに成長するうえでも大切です」と中井先生。

そして、ちくわでおでんの汁をすする男の子たちのことは「母親の理想にあてはめたりせず、現実はこういうものだと理解しましょう」とのこと。ちくわをストローにしてもいい、大きくなれよ……。

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