左から、高野志穂、古谷一行、長谷川初範 左から、高野志穂、古谷一行、長谷川初範

新国立劇場演劇『テンペスト』が5月15日(木)から東京・新国立劇場 中劇場で開幕する。4月9日に行われた会見では、演出の白井晃、キャストの古谷一行、長谷川初範、高野志穂らが顔を揃え、公演へ意気込みを語った。

新国立劇場演劇『テンペスト』チケット情報

作品はシェイクスピアが最晩年に残したロマンス劇の傑作。弟アントーニオとナポリ王アロンゾーの謀略により地位を追われ、娘ミランダとともに孤島に流された元ミラノ大公プロスペロー。歳月を経て魔術の修練を積んだプロスペローは魔法の力で嵐を起こし、アントーニオ、アロンゾー一行の乗った船を難破させ、彼らを島へと呼び寄せる。

白井は「俳優のみなさんにはかなりご苦労をおかけすることになると思うので、気心の知れた、無理を言ってもケンカにならない方に集まってもらいました。紅一点、高野さんは初めてですが、だんなさんを知っているので、そういう意味で気心が知れていると思ってます」と笑う。

主役のプロスペローを演じるのが古谷。膨大な量のセリフに「年齢的なこともあり、こなしていくことができるのかという不安があったが、昨日稽古初日が開けて、いい感触めいたものがあった。絶句してしまう自分が怖いので、それがないよう乗り切りたい。共演者に支えになっていただけたら」。娘ミランダ役の高野は「ずっと学生時代イギリスで過ごして、イギリスでは普通にシェイクスピアを学ぶのを目の当たりにしてきました。私にとって第二の故郷の作家の作品を日本を代表する劇場で演じさせてもらえるのはとても光栄なこと。初めての白井さんの演出にガツガツついていきたい」。弟アントーニオ役の長谷川は「20代の頃からシェイクスピア劇に憧れていましたが、あまりチャンスがなく50歳を過ぎてからやらせていただく幸せを感じています。尊敬できる先輩である古谷さんの胸を借りながら、思い切り弟として暴れたいと思います」とそれぞれ意欲を示す。

演出について、白井は「小さなテンペスト」にしたいという。「ひとりの男の個人的な物語にしたいと思って言わせてもらった言葉。『テンペスト』というとスペクタクル性や、音楽や魔法がでてきて、そういう目立つ部分に目がいきがちだが、僕はそう読まなかった」と白井。プロスペローが暮らす孤島を「プロスペローの記憶の集積地」と捉えのだという。「プロスペローはなぜ弟を呼び寄せたのか。なぜ彼らを許そうとしたのか。そんなことを考えていると、これはひとりの男の記憶の物語と読めた」と話している。

公演は5月15日(木)から6月1日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。チケット発売中。