(左から)呉美保監督、高橋和也、池脇千鶴、綾野剛、菅田将暉、伊佐山ひろ子、田村泰二郎

映画『そこのみにて光輝く』が4月19日に公開を迎え、テアトル新宿にて主演の綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、伊佐山ひろ子、田村泰二郎、呉美保監督による舞台あいさつが行われた。

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映画は、函館を舞台にした小説で何度も芥川賞候補になりつつも受賞はかなわず、不遇のまま自死を選んだ作家・佐藤泰志の長編小説が原作。人生に絶望した青年と愛を知らない女性の一途な愛が描かれる。

個性的かつ豪華俳優陣がそろった本作について綾野は「いろんなスパイスが混ざり合ってできた作品です」と誇らしげに語る。主人公の達夫として、菅田演じる拓児を抱きしめるシーンに触れ「拓児のような人、自分を愛せない、自分を抱きしめられない人を抱きしめてやれる世の中になっていかなきゃいけないと思った」と訴えた。

池脇は海の中での綾野とのシーンを印象深いシーンとして挙げたが「寒くて舟で震えてました! 死ぬかと思った」と述懐。菅田は自身にとってクランクアップのシーンとなった自転車での疾走シーンについて「20~30人のスタッフがトラックを手で押して動かして、荷台から自転車に乗っている表情を撮った。その一体感! 顔を撮るためだけにここまで力をかけてくれるのが嬉しかった」と充実の表情で振り返る。

いずれのシーンも当然、呉監督の指示の下で撮影されたのだが、監督は「楽しかったぁ!」と満面の笑みでしみじみと語る。「みんな、ゼェゼェ言ってたけど、スタッフの殺意を感じながら『もう一回!』って言ってました」とドSぶりをのぞかせる。綾野は「こういう感じなんです。ホントは撮影はギリギリじゃダメなんだけど…」と苦笑交じりに諦めたように肩をすくめていた。

本作は8月のモントリオール映画祭のコンペティション部門に出品されることが決定しているが綾野は「佐藤さんと一緒にモントリオールに行って、風を感じたい!」と力強く語る。この日は、劇中の音楽を奏でているバイオリニストのヴァスコ・ヴァッシレフも登壇。生演奏を披露し、綾野は「音が見えるってこういうことなんですね」とその音色に感激していたが、ヴァスコは「モントリオールの次はロサンゼルスでのオスカーの授賞式でお会いできたら」とエールを送っていた。

『そこのみにて光輝く』
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