『アメイジング・スパイダーマン2』に出演したジェイミー・フォックス

25日(金)より公開される映画『アメイジング・スパイダーマン2』でオスカー俳優ジェイミー・フォックスが最強の敵エレクトロを演じている。単なる“悪役”ではなく、孤独と混乱と怒りを抱えた男マックス・ディロンを彼はどう演じたのか? 先ごろ来日した際に話を聞いた。

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映画『アメイジング・スパイダーマン』は、平凡な青年ピーター・パーカーが、驚異的な力を得たことを機に “スパイダーマン”となり、愛する街の人々を守るべく奔走する姿を描いたアクション大作。本作でフォックスが演じたマックスも多くの市民同様、スパイダーマンを愛している。しかし、彼は孤独で、誰も彼のことを気に止めない。フォックスは脚本を読み、モーツァルトを描いた傑作『アマデウス』に登場するサリエリをイメージしたという。「サリエリはずっと神に祈っているのに、神が才能を与えたのは1秒も祈ったことがないようなアマデウスで、サリエリは神をも呪う。マックスも同じでみんなに自分のことを知ってほしいし、スパイダーマンのように愛されたいと思っているんだ」。

そんなある日、マックスは感電事故に遭い、高圧電流を自在に操るエレクトロになる。しかし彼は強大な力を得てもなお、愛されず、行き場をなくした感情は怒りになってスパイダーマンに向けられる。「マックスがエレクトロになる過程がしっかり描かれているのが大きなポイントだ。彼がなぜ悪に堕ちるのか観客は知っているからシンパシーを感じてもらえると思う。マックスもピーターもはじめは普通の人間だった。でも、ピーターはスパイダーマンになると人気者になる。それがマックスの怒りの原動力なんだ」。

本作では主人公も悪役もヒロインもそれぞれが、悩みや複雑な過去を背負っている。マーク・ウェブ監督は本作ではあえて35ミリ・フィルムを使って、可能な限りデジタル技術やグリーンバックを使わない撮影を目指したそうだ。「この作品のようなSF的な要素がある映画こそ、実際にカメラで撮影することで観客に信憑性を与えることになるし、空間に俳優がいて、物理的に何かをすることが作品をリアルにするんだ」。

「子どもの頃に戻れたようで楽しかった」と笑顔で撮影を振り返るフォックスは、今後もエレクトロを演じていきたいという。「同じ役を演じ続けることができたら楽しいだろうし、やりがいはあると思うよ。現在はロバート・ダウニーJr.やヒュー・ジャックマンのような演技力のある俳優たちがヒーロー映画に関わっていて、彼らだけで作品は成立してるけど、もし僕たちが参加できたらまた新しいものを作品に与えることができるだろう」。

すでにエレクトロが登場する本作のスピンオフ作品が製作されるというウワサもある。先のことはどうなるかわからないが、フォックスが本作で「ずっと演じ続けてもいい」と思える役に出会ったことは確かなようだ。

『アメイジング・スパイダーマン2』
4月25日(金)より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー