アレハンドロ・ホドロフスキー監督

23年ぶりの新作『リアリティのダンス』と未完の大作『DUNE』を巡るドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』の公開を控えるアレハンドロ・ホドロフスキー監督が来日し、24日に都内で行なわれた記者会見に出席した。

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ジョン・レノンが45万ドルで配給権を買い取った『エル・トポ』をはじめ、多くのクリエイターたちをも熱狂させてきたホドロフスキー監督の最新作『リアリティのダンス』は自身の幼少期をモチーフにした作品で、軍政下のチリに生きる少年の姿をファンタスティックに描いた作品。『ホドロフスキーのDUNE』は、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、ピンク・フロイドなど多くのアーティストを巻き込み、以前より構想を膨らませつつも実現に至っていない大作『DUNE』に関するドキュメンタリーとなっている。

ホドロフスキーは半世紀前のマルセル・マルソーと一緒だったという初来日、そして25年前の最後の来日に思いをはせ「日本を知ることは文化的な感動があった。『リアリティのダンス』にもその影響を見ていただくことができると思います」と日本への思いを語る。この23年間について「私は自分に、他人と区別するための“刻印”を押すことはしません。昔、電話は電話でしたが、いまは電話は四角くなり、音楽を聞いたり、地図を見たり、出会いを作ったり、バイブレーションでマッサージすることさえできます(笑)。私も同じで音楽、詩、絵画、演劇に小説、漫画とたくさんのことをします。23年間、想像することをやめませんでした」と振り返る。

そして「私が映画を作る時は言うべきことがある時」と語り「そこに言うべきことをすべて込め、ひとつの映画を作り終えればひとつの人生が終わります。何か言うべき時が来るのを待っていました」と久々の新作への思いを吐露。「これは商業映画に対抗するものです。私はスーパーマンもアイアンマンもスパイダーマンも好きではないし、3Dも好きではありません。なぜなら私に襲いかかってくるから(笑)。私は誰にも暴行を受けたくないし、誰かに暴行を加えたくもないのです」とユーモアを交えて語る。

今回の来日は新作で衣装デザインを担当した妻のパスカルさんも同伴。元気の秘訣を尋ねると「タバコを吸わず、アルコールもほとんど摂らず、コーヒーも飲まないし、赤身の肉も食べません。若い妻がいて、彼女に触れるたびに若返ります(笑)。そして常に考え、作り続けています」としっかりとした口調で語っていた。

『ホドロフスキーのDUNE』
6月14日(土)より全国順次公開

『リアリティのダンス』
7月12日(土)より全国順次公開