凰稀かなめ  撮影:奥村達也 凰稀かなめ  撮影:奥村達也

創立100周年を迎え、ますますの盛り上がりを見せる宝塚歌劇。100年の歴史の中でも、燦然と輝く名作『ベルサイユのばら-オスカル編-』が5月より宝塚大劇場で上演される。男装の麗人“オスカル”を演じる宙組トップスター・凰稀かなめに、現在の心境を訊いた。

宝塚歌劇宙組 宝塚大劇場公演『ベルサイユのばら-オスカル編-』チケット情報

昨年、雪組の“フェルゼン編”に特別出演し、オスカル役を務めた凰稀。同じオスカル役だが、今回は演出の植田紳爾らとも意見を交わしながら、さらに理想を突き詰めていると話す。「今回は、生まれたときから死ぬまでを演じます。いろんな人と出会い、いろんな場所に行き、悩みながらも成長していくオスカルを表現したいと思っています。宝塚歌劇のオスカルは原作よりも女性らしい雰囲気があり、見せ方が少し違うと思います。でも私は、オスカルは“男前”だからこそ、世の女性が憧れるのでないかなと思うので、そのイメージも崩したくない。『ベルサイユのばら』は宝塚歌劇を大ブレイクに導いた作品ですし、これからもたくさんの方に愛し続けていただきたいという想いで、とことん追求しています。宝塚歌劇の『ベルサイユのばら』が好きな方にも、原作ファンの方にも納得していただけるオスカルに仕上げたいと思います」。

宝塚歌劇が丸100年を迎えた4月初旬には、記念式典への参加や月組公演に特別出演。改めて100年の重みを感じたという。「歴代のトップスターの方々が勢ぞろいした記念式典では、いろいろと勉強させていただき、身の引き締まる思いでした。その中の一員になれたことはとても光栄ですし、ここまで繋げてきてくださったことに感謝するばかりです。それとともに、これからが大事な時期だと思いますので、私たち上級生が伝えるべきことを、しっかりと次に繋げていきたいです」。そう話す凰稀に、宝塚歌劇の舞台人として、トップスターとして最も大切にしていることを尋ねた。「何をするにしても、“心”を大切にしています。“見せる”とか“作る”のではなく、常に、ダイレクトにありのままの状態で、リアルな感情を出していきたいと思っています。なかなか難しいですけどね(笑)」。

クールな雰囲気だが、話す言葉からは宝塚歌劇やファンを大切にする、熱い想いが伝わってくる。その熱い気持ちでファンの期待に応えつつ、100周年ならではの新たな“ベルばら”を魅せてくれるはずだ。

公演は5月2日(金)から6月2日(月)まで兵庫・宝塚大劇場。6月20日(金)から7月27日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演は発売中。東京公演は5月18日(日)より一般発売開始。

取材・文:黒石悦子