菊之助が語る『春興鏡獅子』の魅力

2014.5.2 18:10配信
尾上菊之助 尾上菊之助

歌舞伎俳優の尾上菊之助が、東京・歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」夜の部の『春興鏡獅子』で小姓弥生と獅子の精を踊る。格調高い舞踊の大曲に3年ぶりに挑戦する菊之助に話を訊いた。

團菊祭五月大歌舞伎 十二世市川團十郎一年祭 チケット情報

『鏡獅子』は前半の小姓弥生の可憐な踊りと後半の勇壮な獅子の精の踊りをひとりの俳優が踊り分けるところが見どころ。九代目市川團十郎らが古曲の『枕獅子』から想を得て創り、1893年に歌舞伎座で初演。その團十郎から直接手ほどきを受けた菊之助の曽祖父である六代目尾上菊五郎の舞台は大絶賛され、現在でも語り草となっている。歌舞伎座で踊るのは15年ぶりとなる菊之助は「江戸城で踊るという雰囲気が歌舞伎座ととても合いますし、久しぶりに帰ってきたようで本当に嬉しい」と喜ぶ。

「弥生は15歳くらいの少女だと思いますが、御殿に務める女性の品格は保ちつつも、十代の女性のかわいらしさですとか、最初は恥ずかしがっているのだけれど、だんだん興に乗る面白さを出したいですね。曲や歌詞、振りがとても洗練されて作られていますし、先輩方が練り上げてきた歴史の重みを感じながら勤めたいです」。

初めて演じたのは五代目菊之助を襲名した18歳のとき。「手も足も出なかった」と当時を振り返る。「その時は120%全力投球して、これ以上できませんってくらいやりましたが、後から映像で見ると“何でこんなに出来ないんだろう”って。18歳に戻ってもう一度やり直したいですね」と苦笑する。

前半と後半で対極の踊りとなるが「ふたつには共通点があって、別物ではないんですよ」と菊之助。「身体の使い方は細いか太いか、柔らかいか堅いかであって軸は同じなんです。そうした違いはそれぞれに面白さがあってやりがいがありますね」。衣裳や化粧も大切だと話す。「獅子の毛であったり、隈取りであったり、扇子や衣裳の色も先輩方が工夫されて現在の形になっています。作り上げてくださった伝統の重みを忘れないようにしなければと思います」。

次代を担う若手のひとりとして歌舞伎の魅力を伝えたいという気持ちも強い。「新しいお客様が増えているとは聞いていて、ありがたいかぎりです。舞踊は言葉でなく見ているだけで何を表現しているのかわかるところが魅力です。二枚扇となって花を表現したりですとか、情景を想像してご覧いただければと思います。俳優の身体を通して時間と空間をお客様と共有させていただく、そこが舞踊の醍醐味です」。

菊之助はほかに昼の部「勧進帳」の富樫左衛門を演じる。公演は5月1日(木)から25日(日)まで。チケットは一部を除き発売中。

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