ミュージカル『「モンティ・パイソンのスパマロット」featuring SPAM』本番前会見より(c)GOTO AKI ミュージカル『「モンティ・パイソンのスパマロット」featuring SPAM』本番前会見より(c)GOTO AKI

ユースケ・サンタマリア主演のミュージカル『「モンティ・パイソンのスパマロット」featuring SPAM』が、1月9日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。ユースケをはじめ、池田成志、マギー、大人計画の皆川猿時ら笑いに自信のあるキャストを配したナンセンス・コメディのオンパレードに、会場は約3時間、笑いに包まれた。

本作は、日本でもおなじみのイギリスのコメディ・グループ、モンティ・パイソンがアーサー王伝説をもとに制作した1975年公開の映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』のミュージカル版。脚本・作詞・音楽をメンバーのエリック・アイドルが手がけ、2005年のトニー賞3部門を受賞した。今回の日本版は脚色・演出を福田雄一が務め、日本の有名ドラマのくだりや現代日本のタブーもコントに取り入れた。物語は周りに王と気づいてもらえないアーサー王(ユースケ・サンタマリア)が円卓の騎士とともに神の啓示を受け、イエス・キリストが最後の晩餐で使ったとされる聖杯を探しに旅をするというもの。だが、おかしな敵が行く手を阻んだり、仲間同士のシュールで無駄なやりとりが続いたりして、一行の聖杯探しは遅々として進まない。

演出の福田が、某昼の番組でタモリに名前のことで何年経ってもからかい続けられるユースケを見て主演に据えたとの思惑どおり、ユースケは威厳ゼロ、オーラゼロの地味すぎるアーサー王を体現した。また王とは真逆のド派手でパンチの効いた湖の貴婦人役には元宝塚の彩吹真央。他のキャストはミュージカルを逆手に取ったようなコントにおかしな歌詞をつけたナンバーが多い中、彩吹の貴婦人は豊かな歌唱力を活かし、唯一ミュージカルらしさを発揮する。だが、真面目に演じるほど失笑が漏れ、会場から笑いと拍手が起きた。また円卓の騎士・ランスロット卿の池田は曲者の敵役にも多数扮して好演。アーサー王の忠実なお伴・パッツィ役のマギーは映画版宜しくココナッツの殻で馬の足音を鳴らし、狂言回しで歴史学者役のムロツヨシとベディヴィア卿役の皆川、ロビン卿の戸次重幸はいずれも後半、別役でも笑いを巻き起こした。手練の役者に交じり健闘したのはデニス・ガラハッド卿役の賀来賢人。間と思い切りの良さに加え、笑いのセンスを存分に感じさせた。

本番前の会見でユースケが「俺達はもうミュージカル以外の仕事はやらんぞ」と彼らしいジョークを交えて豪語する本作は、1月22日(日)まで同劇場にて。その後、2月2日(木)から5日(日)までは、大阪・森ノ宮ピロティホールでの上演となる。チケットはいずれも発売中。