『ぼくたちの家族』(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会

24日(土)から公開される映画『ぼくたちの家族』を全国の映画館スタッフがひと足早く観賞し、絶賛の声を挙げている。本作は、昨年の映画賞レースを席巻した『舟を編む』の石井裕也監督の最新作だが、映画館スタッフは先鋭的な演出や俳優の演技ではなく“平凡な家族のドラマ”に感動したという。彼らは本作のどの部分に魅力を感じているのだろうか?

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本作は、きわめて平凡な一家が主人公の物語だ。物語の冒頭で、母親の余命宣告があり、父親とふたりの息子はお互いの関係を振り返り、新たな“家族の形”を構築していく。妻夫木聡と池松壮亮が兄弟役を、長塚京三と原田美枝子が夫婦役を演じており、その演技力も高く評価されているが、実際に観客を迎える映画館スタッフは、誰もが共感できる“家族ドラマ”に魅力を感じているようだ。あるスタッフは「ごく普通の家族のエピソードの中に、さりげない優しさや、相手を思いやるが故の葛藤の描写があり心に重く響く」と語り、別のスタッフは「ひとつの問題や危機に向き合う時に家族ほど団結できるものはないと改めて気付かされた」と語っている。他にも「自分自身の生活環境や経験により作品の印象が深まる事を今作で改めて知らされた」「私も母親を亡くしており家族構成も似ていたため、とても感慨深い映画だった」などの声もあり、作品を通して自身の家族を振り返ったスタッフも多かったようだ。

そもそも本作は、石井監督や原作者、プロデューサーらが“自分たちの感覚と意識で家族に向き合った映画を作りたい”という想いから生まれた作品だという。その結果、本作で描かれるのは“どこにでもいる家族”だが、そのことが観る者の共感をよび、全国の映画館スタッフの心を捉えることとなったようだ。ちなみに本作には多くの著名人も絶賛の声を寄せており、作家の有川浩、よしもとばなな、俳優の市村正親らも賞賛コメントを発表している。

『ぼくたちの家族』
5月24日(土)新宿ピカデリーほか全国公開