千葉市・幕張のイオンモール幕張新都心のなかに店を構えるノジマ イオンモール幕張新都心店は、神奈川県を本拠地とするノジマにとって、県外で情報発信基地の役割を果たす旗艦店だ。地域密着型の店舗が多いノジマは、多くの人が集まる巨大モールの特性を生かして、千葉県を中心に関東全域でノジマのブランドの浸透に力を入れる。同時に、地元住民が信頼を寄せる店舗としての姿を目指す。(取材・文/佐相彰彦)

ノジマ イオンモール幕張新都心店

店舗データ

住所 千葉県千葉市美浜区豊砂1-6

イオンモール幕張新都心 アクティブモール1F・2F

オープン日 2013年12月20日

売り場面積 約6600m2

従業員数 約80人

●関東全域から年間3500万人 巨大モールで「ノジマ」を訴求

2013年12月20日にオープンしたイオンモール幕張新都心は、敷地面積約19万2000m2、総賃貸面積約12万8000m2、全長約1.5kmと、イオンレイクタウンやららぽーとTOKYO-BAYに次ぐ国内第3位の巨大ショッピングセンターだ。7300台の大型駐車場をもち、首都高湾岸線の湾岸習志野IC(インターチェンジ)や京葉道路の幕張ICが近くにあることから、クルマでのアクセスは抜群。また、JRの海浜幕張駅、新習志野駅、幕張本郷駅から路線バス4路線が走り、電車利用にも便利なロケーションだ。イオングループにとっては、本社のある幕張での出店とあって、イオンモールのなかでの旗艦店と位置づける。

モールは、日本初出店のブランドショップが多く出店する「グランドモール」、ペットライフを提案する「ペットモール」、親子3世代が楽しめる「ファミリーモール」、スポーツと家電を体験できる「アクティブモール」の四つで構成。10代後半から20代前半の学生、ファミリーや高齢者など、関東全域から幅広い年齢層が訪れる。オープンから3連休を含めた4日間で約57万人が来場した。年間来場者は3500万人を見込んでいる。

この巨大モールに出店した家電量販店が、神奈川県相模原市に本拠を置くノジマだ。アクティブモール内にあるノジマ イオンモール幕張新都心店は、売り場面積が約6600m2と、ノジマの店舗のなかでは最大規模。ショッピングモールへの出店で、ノジマは新しい客層の開拓を狙う。坂中俊一郎店長は、「情報発信基地の役割を果たす旗艦店として、ノジマに来ればデジタル機器や白物家電が何でも揃って楽しく買い物できることをアピールして、さまざまな層のお客様を獲得したい」と意欲を燃やしている。

●デモンストレーションで「コト」を提案 コンサルティングセールスを実行

ノジマ イオンモール幕張新都心店は、ショッピングモールのテナント出店では珍しい2フロア構成。1階がスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどデジタル機器のフロア、2階が白物家電とAV(音響・映像)機器のフロアになっている。アクティブモールには1階の入り口のほか、2階にほかのモールからの連絡通路があるので、両フロアに入り口を設けた。「お客様がスムーズに来店できるように」(坂中店長)と、入り口付近には商品を置かず、広いスペースを確保している。

坂中店長は、「各コーナーで、お客様が楽しみながら買い物できるよう工夫を凝らしている」と自信をみせる。とくにデモンストレーションは、コーナーの一角ではなく、特設スペースや個室を用意して本格的に実施し、楽しさを演出している。例えば、今話題のコーヒーメーカーのコーナーを「カフェ」にして、スタッフが店員になり、お客様が要望するメーカーの製品でコーヒーを淹れて提供している。「コーヒーを飲みながら製品の説明を聞いていただく」(坂中店長)。お客様の「どの製品にしようかな」という迷いを、カフェの設置で解決するわけだ。

また、花粉が気になる今の季節、空気清浄機のコーナーでは、各メーカーの製品を設置した個室を用意。個室内で煙を出して、その処理性能を試すことができるようにした。坂中店長は、「お客様がどのような用途で使うのかによって、適した空気清浄機は異なる。駆動音の大きさや、煙を吸い込み終わる時間などを実際に試してもらっている」と説明する。エアコンのコーナーでも、リビングに見立てたスペースで各メーカー製品の気流を体感することができる。

デジタル機器のフロアでは、ポイント会員向けに有料の教室を開催。カリキュラムは、デジタル一眼の上手な撮影方法、タブレット端末の便利な使い方など、「お客様が困っておられることをピックアップしている」という。最近では、Windows XPのサポート切れによるパソコンの買い替えで、Windows 8になって操作がわからなくなってしまった人向けに、パソコン教室を開催している。

このように、デモの工夫によって「モノの提案ではなく、コトの提案で購入につなげている」(坂中店長)というノジマ イオンモール幕張新都心店。ショッピングモールという立地を生かして、今は新規顧客の獲得がメインだが、「地元の方に何度も足を運んでもらうのが最終的な目標」と、地域密着にこだわっている。接客では、「全社での取り組みでもあるお客様が本当にほしいと思う商品へと導く『コンサルティングセールス』を積極的に進める」ことによって、近所の高齢者や主婦などが来店するようになっている。

●店長が語る人気の理由――坂中俊一郎 店長

みなとみらいや都築、藤沢など、神奈川県内の店舗で現場に携わり、エリア長としてさまざまな店舗を統括した。神奈川県はノジマの本拠地だけに、「当社の名前を知らないお客様はほとんどいなかった」という。一方、幕張では「ノジマの存在さえ知らないお客様も」。このギャップと、ショッピングモールでの出店ということから、「自社他社を問わず、どの店舗も実施していなかったことに挑戦していく」姿勢で存在をアピールする。

平日と休日の客層が異なっているので、「スタッフには回転率と成約率のバランスをみるように指導している」。お客様の心をつかみながらソロバンを弾くマネジメントで、売り上げを伸ばしていく。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年4月28日付 vol.1528より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは