愛媛大学で行われた『トランセンデンス』特別企画

ジョニー・デップが主演のSF大作『トランセンデンス』が日本公開されることを記念して、14日に愛媛大学で行われた2014年度人工知能学会全国大会の中で共同特別企画が行われた。当日は講演とパネルディスカッションが行われ、映画に描かれている“超越(トランセンデンス)”的な人工知能の進化について語られた。

特別映像

映画は、人工知能を開発研究するも反テクノロジーを掲げる過激組織によって殺されてしまった科学者ウィルの脳が、スーパーコンピュータにアップロードされ、あらゆる情報を収集して想像もしなかった進化を遂げていく様を描いた超大作だ。

映画で描かれているように人工知能が人類を凌駕する瞬間は本当にやってくるのか? 国立情報学研究所の市瀬龍太郎氏らによると、技術革新の時間は加速度的に早くなる傾向にあり、このままいくと2040年ぐらいにすべての人間の脳の計算能力を人工知能が凌駕すると多くの学者が予測している、という。また、NPOあいんしゅたいんの松田卓也氏は、映画のように頭脳をコンピュータにアップロードしなくとも、通常我々がやっている知能増強(PCで何かを検索したりという行為)を通じて、人間の意識のデジタル化は促進され、ゆくゆくは不老不死さえも人間は手に入れてしまうだろう、という考えを紹介した。

もちろん、進化は良いこともばかりではない。パネルディスカッションでは進化した人工知能にどのような行動基準をもたせ、人間に危害を加えないようにするのか? という議題も登場。本作は最新の研究に基づいた描写が多く、イベント参加者は「この映画は医療の問題だけでなく、社会制度や倫理観の要素も含んでいる作品だと思った」「近い未来、人工知能が進化して人間と同等、もしくはそれ以上の能力を持ったら、怖い反面一緒に共存していけるなら、それはあり」など、劇中で描かれている“超越”をリアルに受け止めていた。

ちなみに本作で描かれる内容は、海外の研究者も考察を重ねており、このほど公開された特別映像では、カリフォルニア大学のマイケル・マハルビッツ准教授らが人工知能の驚異的な進化についてコメントしている。

『トランセンデンス』
6月28日(土)公開